エリオット波動とハーモニックパターン Part1 前編: Elliott Wave, Harmonic Patterns

マニアの産物と思われがちなハーモニックパターンとわかりづらいという印象が先行するエリオット波動分析。この2つに潜む興味深い要素を探索していきます。

エリオット波動とハーモニックパターン:38.2、61.8、5.0

エリオット波動の基本:5 waves up, 3 waves down

波動の起点がどこなのか、どのようにカウントしていいのかわからないという少し難しい側面もあるのも事実ですが、ここでは、エリオット波動の基本とサクッと見ていきます。(引用元:EWI)

エリオット波動のサイクル Elliot wave complete cycle

5つの波からなる推進波(Motive WaveまたはImpulsive Wave)と、3つの波からなる調整波(Corrective Wave)が一つのサイクルを構成します。

左から1, 2, 3, 4, 5と5つの波で上昇した相場が右側のa, b, cの3つの波で調整波を構成しているのがわかります。

ドル円でもユーロドルでも、5分足、1時間足、あるいは日足で、このようなフォーメーションになっていることがあれば、おや、これははたして?となりますよね。

エリオット波動とハーモニックパターン:初動を捉える

Part 2の続編でも記載していますが、チャート上でこのようなサイクルが目に留まった時に気になるのは、5波と3波から構成される波のフォーメーションだけを見ていればいいのか?ということになります。実はそうではないようです。

こちらの画像では、上記の画像にある数値をが追加されていますね。(引用元:EWI)

左側は推進波、右の1から2への3波の動きは調整波。もうお気づきだと思いますが、この数値はフィボナッチ数値で、1とあるのは第1波、2は第2波となります。

エリオット波動のガイドラインでは、「第2波は、第1波のフィボナッチリトレースメントの50%や61.8%までプルバックする」と記載されています。

となると、これは上昇トレンドの初動の動きであり、第2波を終えると、第3波として上昇トレンドが炸裂するというシナリオが生まれますよね。5分足でも、1時間足でも、4時間足でも、日足でも、このフォーメーションはフラクタルに出現します。下落トレンドの場合は、画像を上下逆さまに考えるだけです。

このフォーメーションをしっかりと覚えたら、ここでハーモニックパターンに登場していただきます。

あまり知られてないけど威力抜群の61.8%パターン

こちらは2019年10月に投稿していた61.8%パターンです。このパターンはネット上ではあまり出てきませんが、非常に重要な役割を持っています。

まず、画像中央に大きく下落して反発したV字のプライスアクションがあります。その後、また下げたのですが、安値を切り上げて反発しているのがわかります。そして再度上昇した後は、先ほど見た画像のように3波で下落しています。

そして、ここでフィボナッチリトレースメントレベルの61.8%を使う61.8%パターンが検出されています。先ほどの画像にあるフォーメーションとこのパターンから想定できるのは、上昇トレンドの初動の動きであり、第2波を終えて第3波が始まるシナリオです。これは1時間足ですので、1時間足でトレンドを築くか?ということになります。

こちらはドルインデックス(DXY)の61.8%パターン。これまで見てきたフォーメーションとは逆になり、この場合は一旦下落後に、戻り高値を付けた後このパターンで第3波が買いしか?というシナリオになります。61.8%パターンは、最もよく知られているエリオット波動のサイクルの画像をチャート上で再現してくれるわかりやすいパターンであることがわかります。

先ほど、エリオット波動のサイクルはどの時間足でもフラクタルに出現すると書きました。したがって、この61.8%パターンが示唆するのは大まかに2つのシナリオになります。

ひとつ目は、例えば、大きな下落トレンドを継続している相場では、そのパターンが検出された時間足に限って、買いのカウンタートレンドを形成する可能性があるということ。重要なのは、その時間足に限ったトレンドの初動を示唆していることです。

ふたつ目は、チャートの左にある大トレンドの終焉とトレンド転換を実際に示唆しており、突っ込み売りや高値掴みを警戒する場面にいる可能性があることです。そして、このエリオット波動のサイクルの終焉と61.8%パターンをサポートするもう一つ大切なハーモニックパターンも見てみます。

逆三尊と相性の良い5-0パターン

エリオット波動のサイクルの画像を再現してくれる61.8%パターンと合わせて見ておきたいのが新種のハーモニックパターンの5-0パターンです。5-0パターンの成立条件等については、「5-0パターンを復習しよう:ユーロドルのもう一つの節目やWTI原油の$42.11でのプライスアクションにも注目」をご参照ください。

5-0パターンの役割は、トレンド転換の初動を捉えるということ。トレンド転換と言えば、チャートパターンで、逆三尊(インバースヘッドアンドショルダーズパターン)が知られていますが、こうしたチャートパターンは自分の目でそう見えるパターンであり、数値など何か決定的なものを根拠にしているわけではなさそうです。その一方、5-0パターンは61.8%パターンと同じで、フィボナッチ数値を基にした根拠を追加してくれます。

こちらは、ドルスイス(USDCHF)の日足に検出された売りの5-0パターン。チャートを遠目に見ると画像左の高値が左肩、直近高値が頭、そして5-0パターンで価格が反応した場所が右肩か?という目線になります。

ただし、左肩に比べて右肩が小さくなるので、このパターンで下落しても、再び反発して左肩のレベルまで上昇する可能性も十分ありです。

それでも、5-0パターンが意味するのは、ヘッドアンドショルダーズパターンのネックライン割れでエントリーする前に、エントリーできる優位性を示していることです。確かに、Pivot 0.97165とある濃紺のネックラインを割ってからエントリーすると、リスクリワードは良くないですよね。日足ですので、ピップ数も相当あります。

こちらは、米ドルインドルピーの日足の5-0パターン。

画像中、5-0パターン内の赤のCからDまでの動きは推進波のように見えますよね。D地点をヒットして下落した波のフォーメーションは、エリオット波動のサイクルで見た調整波のようです。

だとすると、この場合、画像の左にある高値から赤のC地点までの一連の値動きを下落トレンドと捉え、その下落トレンドの終焉かという考えになります。この5-0パターンが機能すれば、上昇トレンドが再開するというシナリオを描けます。

エリオット波動サイクルの基本のフォーメーション。チャート上で目視できても、今一つ根拠が足りず、それを補うのがフィボナッチであることがわかりました。そして、フィボナッチの応用であるハーモニックパターンがこのサイクルを検知するのに役立つということも理解できました。

ここまでは、サイクルの大まかな動きと合わせたハーモニックパターンを見てきましたが、エリオット波動では、推進波と調整波それぞれにフィボナッチを使います。その結果、フィボナッチの応用であるハーモニックパターンもしっかりと貢献しています。笑

推進波や調整波で使えるABCDパターンとそのバリエーションなど、個別の波については、下記の記事やメニューからシリーズの投稿記事をご参照ください。

エリオット波動とハーモニック Part2:調整波(Corrective Wave)と相性のよいハーモニックパターン

エリオット波動の基本: チャネルの使い方 -Elliott Wave basics: Using a channel

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