ハーモニックトレード Part2:バタフライなど延長タイプのパターン Butterfly, Crab, Deepcrab

この「ハーモニックトレード Part2」では、バタフライ、ディープクラブ、クラブなど、チャート上にほぼ毎日のように検出されるエクステンション(延長)タイプのハーモニックパターンをまとめています。Part1で見たガートレーやバットとの関係にも触れています。

チャートの左に鍵あり:フィボナッチ1.272%、1.618%

Harmonic patterns Cheat Sheet 2

ハーモニックパターン:エクステンションタイプ

ガートレーやバットパターンと同様、基本のハーモニックパターンに分類されるバタフライやディープクラブのパターンは、どの時間足でも良く出てくるパターンですので、習得しておきたいですね。

エクステンションは、拡張や延長という意味を持っており、このグループの代表パターンは、バタフライ、クラブ、ディープクラブ、変形バット。ガートレーやバットがリトレースメント(戻し)タイプであるのに対し、バタフライなどでは、完成地点Dが、起点となるXを超えて延長(高値更新や安値更新)するためエクステンション(伸びる)タイプとなります。

ハーモニックパターンを考える場合、下記の画像に見える色の付いたパターンの一番左の起点をXとして、ABCDとなぞっていき、Dを完成地点とします。

エクステンションタイプのバタフライ、クラブ、ディープクラブ、そして続編で探索する変形バットに共通しているのは、バットやガートレーと同じで、CがAを超えないことです。つまり、切り上げ安値、または切り下げ高値を形成しているトレンド相場での形成も視野に入ります。CがAを超える場合は、Part3で見る新種のハーモニックとなります。

バタフライパターン(Butterfly)の事例

これは、「意識された水平線(ライン)間際の値動き+ハーモニックパターン=ドル指数(DXY)に注目 DXY’s resistance」のドルインデックスに検出されているバタフライパターンです。

画像には、XABCDを記載していませんが、Part 1で見たガートレ―やバットの画像と同じように、描画されたパターンの各点をXABCDとします。この画像では、青のバタフライパターンの左の高値からXABCDとなります。

バタフライで面白いのは、78.6%のリトレースメントレベルを使うガートレーと深い関係があることです。78.6の逆数は1.272です。また、ガートレーからバタフライへと発展することもあります。

どういうことでしょうか?

A. バタフライには過去にガートレーがいた経緯がある場合もあり

下記に、上記のドルインデックスをトレーディングビューで描画しなおしたものを掲載しています。

DXY Gartley stays in Butterfly 29 Sep ガートレーの78.6を使ってバタフライを見る事例

青のバタフライの左のXから、A、そしてBまでの値動きの中で、ピンクのガートレーが形成されていた可能性があります。

ピンクの売りのガートレーで、相場は一旦プライスアクションを引き起こしていますが、移動平均線が上向きなど、まだ買い目線の相場続いているため、価格が下げきらず再度上昇。

そして、このピンクのガートレーのD地点を超えてきた場合、このD地点をBと捉え、次は青のバタフライが形成される?ということを想定することができるようになり、ターゲットとなる目標値をフィボナッチツールで計測することが可能になります。

バタフライパターンの成立条件

  • CはAを超えない(CがAに対して付けるリトレースレベルに基準はありますが、基本はCがAを超えないこと)
  • 高値Xから完成地点Dまでのフィボナッチプロジェクションは1.272%
  • Bは、ガートレーで使う78.6%を使用。価格がBに到達した時に、一旦ガートレーが形成されていた可能性あり
  • BからCへと引くBCのフィボナッチプロジェクションの1.618%から2.618%のレベル

クラブパターン(Crab)の事例

こちらは、あまりクリアな画像ではないですが、2018年5月の「ドル円や株式などババ抜きの様相!?FX & US stocks are like an Old Maid game?」で掲載していたクラブパターン。

クラブパターンは比較的出現頻度が低いのですが、パターン完成に必要なフィボナッチ比率を見ると、起点となるXに対するB地点のリトレースメントが38.2-61.8%であること、さらに、BからCまでのフィボナッチプロジェクションが2.618%や3.618%であることなどから、フィボナッチ黄金比率が揃うパターンであることに間違いはないです。

下記は2019年9月30日現在で検出されているシルバーのクラブパターンです。

表示されているフィボナッチ比率を見てください。

1.618や3.618などにフィボナッチでよく使う数値に近い数値になっています。

クラブパターンの成立条件

  • CはAを超えない(CがAに対して付けるリトレースレベルに基準はあります)
  • 高値Xから完成地点Dまでのフィボナッチプロジェクションは、1.618%
  • BはXに対するフィボナッチリトレースメントの38.2-61.8%で、78.6%を超えない
  • CDはBCの値幅に対するフィボナッチプロジェクションの2.618から3.618のレベル

ディープクラブパターン(Deep Crab)の事例

ディープクラブは、クラブと異なり、チャートで頻繁に検出されており、このブログでもよく扱っています。

9月21日に投稿した「ドル円が示唆していたプライスアクション:ダブルハーモニックパターン ‐ Typical double harmonics」で見た週明けギャップアップ後のWTI原油のディープクラブ。この記事では、FOMCの後にも、ドル円で出ていたディープクラブを扱いました。

ディープクラブの特徴は、クラブと異なり、パターンの中央に位置するBの地点が88.6%まで深くリトレースしていた過去のプライスアクションがあることです。

いいかえれば、バタフライの中にガートレーが形成されていた可能性があるように、ディープクラブでは、Xから、Aそして、Bまでという値動きの中で、フィボナッチリトレースメントレベルの88.6%を使うバットパターン、あるいはシャークパターンが形成されていた可能性があります。下記の記事一覧でディープクラブを扱った関連記事もご参考ください。

ディープクラブパターンの成立条件

  • CはAを超えない(CがAに対して付けるリトレースレベルに基準はあります)
  • 高値Xから完成地点Dまでのフィボナッチプロジェクションは、クラブと同じで1.618
  • BはXに対するフィボナッチリトレースメントの88.6%。バットが形成されていた可能性あり。
  • CDはBCの値幅に対するフィボナッチプロジェクションの2.618から3.618のレベル

この続きは記事が長いので、「ハーモニックトレード Part2(続編) 延長タイプパターンの変形バット(Alternate Bat) Goldの事例」として別途投稿しています。続編では変形バットというバットパターンの親戚について見ていきます。比較的出ることが少ないゆえ、検出された時は一見の価値ありのハーモニックパターンです。

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