この記事は「ハーモニックトレード Part3:新種のハーモニックという仲間達 Shark, Nenstar, Cypher etc」の続編となります。記事が長いため、後半部分をこちらに掲載し、シャークパターンと3-ドライブパターンをシェアしています。
シャークとスリードライブ:フィボナッチプロジェクションが鍵
5-0パターンとバットと縁があるシャークパターン
今年5月に投稿していた「FOMCでボラティリティがONとなる可能性もあり!?Potentially, volatile post FOMC.」で見たグーグル株は、高値更新かと思わせた値動きから、売りのシャークパターンで強烈なギャップダウン。
シャークパターンでは、上記のサイファーと同じように、CがAを超えます。安値や高値を更新する形を一旦取ってから反転します。
シャークパターンには、バットと同じ88.6%を使うリトレースメントタイプと、変形バットと同じ1.13%を使うプロジェクションタイプがあります。88.6と1.13は逆数の関係にあります。
これは、2029年9月30日、ドル円1時間足に出ているシャークです。
パターンが検出されて一発目で反転しており、ぎりぎりリトレースメントタイプとしての88.6%の基準を満たしていますが、少し上に、プロジェクションタイプとしての1.128という目標値が見えます。
A. USDTRYに検出されているシャークパターン
2019年9月の時点で、USDTRY(米ドルトルコリラ)にもシャークパターンが検出されています。
シャークパターンはバットパターンと5-0パターンに関係する新種ハーモニックです。
シャークパターン完成後の値動きは、基本的に5-0パターンが完成する半値戻し(フィボナッチリトレースメントの50%)を目指します。
B. USDINRの5-0パターンと過去にいた可能性のあるシャーク
USDINR(米ドル・インドルピー)には、9月現在、買いの5-0パターンが検出されています。画像中には、ピンクのラインとXABCDを使って、下落前に出ていたであろうシャークパターンを描画しています。
CがAの安値を割っています。XからDへのフィボナッチプロジェクションは1.13で、価格はここで、きちんと反転しています。この場合、フィボナッチをXからCに向かって引いています。
シャークパターンから5-0パターンへというコンビネーションでは、このフィボナッチリトレースメントの50%でつけた高値を超えて、次の61.8%まで価格が伸びることもあります。
シャークパターンは、後になって見ると、結果的に安値Aも更新、高値Xも更新する嫌なパターンですが、このチャートは、シャークパターンから5-0パターンというコンビネーションの理想的な値動きを見せているようです。そして何より、5-0パターンは、トレンドの初動を示唆するパターンです。
シャークパターンの成立条件
- CはAを超える(一旦高値や安値を更新)
- リトレースメントタイプの場合、完成地点Dは、バットと同じで、Xに対するフィボナッチリトレースメントの88.6%
- エクステンションタイプの場合、完成地点Dは、変形バットと同じで、Xに対するフィボナッチプロジェクションの1.13%
- XとAを使うフィボナッチプロジェクションは、1.13から1.618%
ここで触れた5-0パターンについては、下記のリスト内の記事もご参照ください。
スリードライブ(3-ドライブ)パターン
相場はなぜか3という数字と縁があり、3回値を付けるという癖があります。スリードライブが検出されると、3回目を付けたのでそろそろ反転か?と警戒することになります。
必ず見なければいけないのは、画像の左に掲載されていないが存在している大トレンドの高値と安値をつかったフィボナッチリトレースメントで今どのレベルにいるかを見ることです。
こちらは、ユーロドルと正反対の動きを見せるドルインデックス(DXY:ドル指数)で、週足で売りのスリードライブ、月足ではブラックスワンが検出されています。検出されてからずいぶん時間がたっています。
長期足のパターンが出た場合、すぐに反応するとは限らないですが、パターンがいることを理解しておけば、トレンド転換が開始しても焦らないですね。
スリードライブパターンの成立条件
- 最初の三角のフィボナッチプロジェクションと、2つ目の三角のフィボナッチプロジェクションの比率が1.272か1.618で同じ比率(1.382、1.414なども使うことがあります)
- その2つの三角が同じ時間を経て形成されていること(時間の概念)
- チャートの左に存在する大トレンドに対するフィボナッチリトレースメントのレベルを確認すること
スリードライブパターンは上記の成立条件だけをみればよいということになりますが、もうひとつ根拠を添えてくれる強力なパターン、ブラックスワンがあります。
ABCDパターンとブラックスワン
ハーモニックパターンのABCDの各地点は、ABCDパターンを理解すると見えてきます。ABとCDが同じになる基本のAB=CDパターン以外にも、61.8、78.6、1.272、1.618を応用するABCDパターンがあります。さらに、2と0.5といった逆数を使うABCDパターンもあります。ABCDパターンや、新種のハーモニックパターンであるブラックスワンも、エリオット波動分析と関係が深いようです。
まとめ:上記では、新種のパターンについて基本的な成立条件などを見てみました。
サイファー、ネンスター、A・サイファー、A・ネンスターは、78.6と1.272という逆数関係を通じて繋がっていること、シャークはバットと5-0パターンと関連したパターンであることがわかりました。新種のハーモニックは、安値や高値を一度更新する値動きを見せるため、後付け解釈として「だましだった」というプライスアクションを演出するパターンもあることもわかりました。
上記の各画像中のXとDや、AとCの位置関係を見ていただくと、フィボナッチの1.13、1.272、1.618など主要な数値になっていることがわかります。新種ハーモニックを理解するうえで必ず知っておきたいのは、エクステンションタイプのハーモニックパターン(バタフライなど)と同じくフィボナッチプロジェクションの存在と使い方が鍵となることです。
フィボナッチプロジェクションは、エクステンションとは異なり、押しを付けたり戻りを付ける調整波(修正波)を使います。そのため、使い方がわかりづらいということもあるかと思います。
オートハーモニックインジケーターを使っていると、AとC、BとC、XとDの位置関係を見るプロジェクションといった、普段、あまり見なさそうなフィボナッチ比率も表示してくれるので、そこから学ぶことができます。このほか、XABCDのABCDに注目して、ABとCD間のフィボナッチ数値を理解することもできます。この辺りがエリオット波動の推進波と調整波との関連性を示唆していると思います。
フィボナッチやハーモニックパターンを使っていないと、安値や高値更新から、「だまし」や「スパイク」という値動きが来て、自分が高値掴みや突っ込み売りをしているということには気づきません。新種ハーモニックは、トレンドフォローの目線を維持したままだと損切させられる嫌なパターンですよね。
新種のハーモニックパターンは、目視で見つけるには相当のトレーニングや経験が必要だと思います。オートハーモニックを使っていると、難しいパターンもきちんと検出してくれるので、効率がよくなり、エッジのある価格帯が見えてくる。やはり、鬼に金棒です。
株式、原油、金、通貨、ビットコインなどの仮想通貨のどのチャートも、価格は、必ずフィボナッチ比率で反応し、プライスアクションを起こしています。そして、時間を経てハーモニックパターンを形成しています。ハーモニックがフィボナッチの応用であることがわかりますね。
そして何より、新種のハーモニックパターンであっても、移動平均線、ボリンジャーバンド、オシレーターとのダイバージェンス、ピボットポイント、ライン・水平線、など他のテクニカル分析の基本と合わせて使える手法です。
その他の参考記事
5-0パターンやシャークパターン
「ユーロドル vs シャーク&5.0パターンのコンビ – EURUSD: In 5.0 pattern, we trust」
「ドル指数のシャークパターン、ドル円のブラックスワン、ユーロドルのABCDパターンとハーモニックパターンが大活躍」
「5-0パターンを復習しよう:ユーロドルのもう一つの節目やWTI原油の$42.11でのプライスアクションにも注目」
数字の3を意識した3ドライブ(スリードライブ)パターン
「豪ドル円のガートレー、ポンドドルとユーロポンドのフィボナッチ – Volatile FOMC is coming」
「3という数字を使うハーモニックパターンが効くとき:カナダドルの次の動きに注目♪」
「デジャブなポンドドル=Brexit+サポート+ブラックスワンパターン ‐ Sterling with Blackswan」
「デジャブ?また出たユーロドルのH&S、そして変形バットもどき? DÉJÀ VU? EURUSD’S H&S/A-BAT」