移動平均線(Moving Average: MA)の設定やチャートの環境を認識するうえでのヒントなどをシェアした以前の記事の続編になります。ここでは、移動平均線の応用や他のテクニカルツールとの組み合わせも探索しています。
移動平均線にプラスアルファ
Technical analysis tool -Moving averages are simple but powerful tools on the charts.
移動平均線と他のテクニカルツールを組み合わせよう
グランビルの法則
ずいぶん前に投稿した「The Moving Averages:トレードで知っておきたい移動平均線の使い方」の記事では、見ている時間足で、相場がどちらに向いているかを把握するのに、移動平均線が役立つことを探索しましたが、途中、さらっと触れていたのが、グランビルの法則。
ネットで検索していただくと、優れた画像が出てくるのですが、グランビルの法則では、移動平均線と価格の動き、つまりエントリーポイントを説明してくれています。実際に法則通りに相場が動くのか?
これは、かなり以前のチャートですが、ユーロドルの1時間足のチャートになります。日足の20MAを一緒に描画していますが、ダウントレンドを継続していたことがわかります。
青いボックス内の動きはというと、価格がいったん跳ね上がったものの、1時間足の移動平均線におされて、再び下げ。それでも、安値を更新したあたりから急反転しているのがわかります。
ここで気を付けておきたかったのは、日足の20MAからは離れてしまっていたこと。売りと買いが交差していて、ロンドン時間でも売りが入っていたのですが、NYでは反転し、1時間足の20MAを上に抜けてきて、日足20MAまで上昇していますね。
この動き、グランビルの法則の画像で見かける動きと似ていませんか?なお、グランビルの法則は、日足で200MAを使うのが基本ですが、小さな時間足に降りていって大きな時間足の20MAとの位置関係をさらにズームインすることは可能ですよね。
上記のような場面にあるユーロドルは、移動平均線からの乖離(グランビルの法則)と、さらにはボリンジャーバンドの2シグマがサポートとなっていたことによって、レンジから反転する可能性があり、突っ込み売りは避けるべきだと想定できた場面でした。
ボリンジャーバンドが抵抗帯になることについては「The Bollinger Band -トレードで知っておきたいボリバンの使い方」に掲載しています。
サポートとレジスタンスの役割
移動平均線は、サポートやレジスタンスといった役割を果たすことがあります。「テクニカル分析から見えるドル円の動き:基本を復習してステップアップ♪」の記事で見たように、ドル円は、12月の頭から、日足のチャートでみる20MAと200MAの間でジグザグとした動きを展開していました。
20MAがレジスタンス、200MAがサポートの役割をしていたとみることができますが、4時間足にズームインすると、チャネル(フラグ)を形成していたのが見えますよね。
移動平均線 vs「ザ・伸び切りゾーン」
このほか、強烈なトレンドが出ていて、短長期の移動平均線がいわゆるパーフェクトオーダーになっている場合でも、頭の片隅に置いておきたいのがフィボナッチのエクステンション、プロジェクション、エクスパンションというツールの存在です。
勢いよく伸びているトレンドに逆らってポジションを持つのは本末転倒ですが、すでに価格がある程度伸びていて、今からエントリーしても大丈夫?と一瞬戸惑う時があるかと思います。そんな時は、戸惑った通り、一度立ち止まってチャートを見直すことをお勧めします。
この場合、その伸びの元となっている初動のひと山や、その他目につく山を使って、フィボナッチエクステンションとフィボナッチエクスパンションを描画してみるといいです。これらのフィボナッチツールは、その伸びがどこまで到達するかというターゲットを描画してくれます。
このブログでもよく使う「ザ・伸び切りゾーン」に到達しているのであれば、短期足でまだパーフェクトオーダーであっても、気を付けないといけないなと考えることができます。
この月足チャートでは、2011年の最安値、2015年の高値、その後2016年につけた安値から形成されたひと山を使って、フィボナッチエクスパンションを引いています。画像右端にあるFE100は、フィボナッチエクスパンション100%を意味しています。
これ、どういうことですか?
このフィボナッチエクスパンションが意味するのは、2011年から2015年までの上昇と、2016年の安値から今いる150円台まで、同じ値幅を動きたということ、言い換えれば、ABとCDが等しいAB=CDパターンを形成したということになります。
さらに、このFE100がある黄色のボックスには、2.618というレベルも見えます。これは、2016年の安値から同年末にかけて付けた高値を使ったフィボナッチエクステンションがはじき出した数値。ここは「ザ・伸び切りゾーン」の一部分をなす価格レベルです。
で、ドル円は、このレベルで律儀に反応してくれてますよね?
で、その後のドン下げは、記憶に新しいかと思います。
移動平均線との組み合わせというお題に戻ると、4時間足から5分足といった短期足で、移動平均線がパーフェクトオーダーでありながらも、月足という大きな足のチャートに潜ませていたフィボナッチのレベルは、すでに主要な数値に達していることを伝えてくれていたということです。
肝は、移動平均線は遅行指標で、フィボナッチはターゲットを示してくれる先行指標だということ。そのため、移動平均線だけを見てトレードしようとすると、すでに乗り遅れた場所でエントリーすることになるリスクもあります。
そして、フィボナッチのエクステンション、エクスパンション、プロジェクションを使えるようになると、見えてくるのがハーモニックパターンです。言い換えれば、先行指標のフィボナッチが組み合わさったハーモニックパターンも先行指標です。
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