シルバーとゴールドが節目でレンジのようになっている相場環境ですが、ここではシルバーのフューチャーズのチャートをちょっと探索してみます。Is Silver in ABC?
シルバー:鬼のABC vs フィボナッチ4兄弟
Silver with a bearish harmonic pattern.
(注:この記事は2020年5月30日に投稿していたものです)
シルバーのチャート分析:フィボナッチエクステンション、リトレースメント、エクスパンション、プロジェクションが居座る相場
画像中に記載した方が見やすいので、重要そうなフィボナッチを色別に5つ表示しています。画像中、重要なフィボナッチレベルは、黄色のボックスで表示しています。
まず、一番わかりやすいのは、左側から1番目のブルーのフィボナッチで、日足でつけた高値と安値を使っています。フィボナッチを安値から高値に向かって引いているので、表示には0.114と出ていますが、100-0.114=0.886、つまり88.6%と同じことです。
2番目が、直近高値と安値を使った緑色のフィボナッチ。わかりやすくするために、これは、高値から安値にフィボナッチを引いており、黄色のボックス内に0.886(88.6%)が見えると思います。
3番目は、オレンジで描画したフィボナッチエクステンションで、このエクステンションが示す重要なレベルの1.618%は、見づらいのですが、4番目のピンクで描画したフィボナッチエクスパンションの重要なレベルである3.618%と重なっています。
5番目は、ティールで描画したフィボナッチ。オレンジのエクステンションで使った高値から、21日の安に向かって引いたフィボナッチプロジェクションで、重なるとわかりづらいので横にずらして描画しています。このプロジェクションから見えるのは2.618%。
なお、エクステンションが推進波の方向の波を使うのに対し、プロジェクションは押し目を付けた調整波を使います。最後にフィボナッチの使い方の記事も記載していますのでご参照ください。フィボナッチだけを見た場合、$19.095から$19.155がキーレベルです。
他のテクニカル分析の要素を組み合わせてみる
フィボナッチだけでも重要な価格帯が見えてきたのですが、チャート分析の基本の他の要素も組み合わせてみましょう。
年足レベルのピボットポイント:最強ライン
まずは、最強ラインのピボットポイント。画像中では、茶色の太いラインが今年のピボットポイントで、画像上部にある薄茶色のドットのラインが、ピボットポイントR1で最初のレジスタンスのレベルとなります。
2月28日に強烈な陰線で下に抜けた後、リターンムーブを付けて、少し上抜けてから再度下落し、安値を付けるまで下落トレンドになりました。その後は、このピボットポイントに向かって上昇。5月18日以降のプライスアクションは、このピボットポイントがサポートとなるロールリバーサル(役割転換)を展開しています。
この最強ラインである年足レベルのピボットポイントが当面の節目となります。また、次のピボットレベルでの節目は、$18.771。
チャネル
画像中、濃紺のチャネルが重要な役割をはたしそうですね。チャネルの上限と、先ほど見たフィボナッチの要のレベルが重なるのが、やはり$19.095から$19.155あたりです。価格がここまで到達すると、買いの手仕舞いも重なり、何らかのプライスアクションが出る可能性が大ですね。
ボリンジャーバンド
チャネルと同じく日足のボリンジャーバンドの2シグマも、この価格帯に重なってきます。さらに、月足のボリンジャーバンド2シグマもこの辺りを走るので、レジスタンスとして機能するか見ていきます。
移動平均線
移動平均線については、フューチャーズではなく、MT4で見えるXAGUSD(スポット)も見てみます。大まかな動きはスポットもフューチャーズも同じですが、フューチャーズの方が少し先走って上昇しているようなチャートです。
チャートを開いて見てみてください。まず、月足の20MAが、$16.094あたりを横に走っており、すぐ近くに週足20MAも走っている状況で、日足20MAがこれらの移動平均線をいよいよゴールデンクロスか?という場面です。買い目線を継続するのであれば、月足20MAの走っている$16.094あたりを下抜けてほしくないですよね。
オシレーター
4時間足のMACDは価格の上昇に対して、ダイバージェンス気味。ストキャスティクスやRSIも買われ過ぎのエリアにいます。
ハーモニックパターンを組み合わせてみる
現状では、4時間足で売りのバタフライパターン。
ただし、移動平均線はまだ上向きで、ハーモニックパターンのPRZ(潜在的反転ゾーン)の上限はもう少し上。そのため、ここからすぐに下落トレンドに転ずるという訳ではないため、下げてきた場合に、下げ止まって買いが参入する動きが出ることを待つ方がベターのようです。
また、このまま上昇した場合、あるいは、一旦下げてから上昇を開始した場合でも、すでに78.6%のレベルにいるので、次のフィボナッチリトレースメントレベルの88.6%まで上昇した場合は、売りのホワイトスワンが検出される可能性も想定しておきます。
88.6%の最後の砦を突破したら、次は、市場が年足レベルのピボットポイントR1を狙っているというシナリオを考えますが、直近では$19.095から$19.155でのプライスアクションを見ていきます。
エリオット波動のABC?
濃紺のチャネルを再度見てみます。先ほどと同じ日足のチャートからフィボナッチなどを省いてチャネルの動きにフォーカスした画像です。見づらい場合は、トレーディングビュー上でこの日足チャートをご覧ください。
画像中のブルーのボックス内の値動きに注目します。この値動きは、N字のような波になっていることが気になります。
どういうことかというと、一番左の緑の丸で囲まれた小文字のabcで描画できるように、5つの波からなる推進波ではなく、3つの波で構成された動きがクリアです。これがブルーで示したA波となる可能性を考えることができます。
その後のB波としての下げもクリアな推進波ではなくジグザグしているように見えます。その一方、B波を終えた後の5月の上昇の動きは、5つの波からなる推進波に見えますよね?
ならば、やっぱり、上昇トレンド継続ではないの?
この動きの内、茶色の丸で囲ったiからvまでが、現在進行中の波。これでC波が完了するというシナリオと、グレーの一回り大きな5波が存在するシナリオの両方を描けます。グレーのサイクルで見ると、現在はまだ第3波目にいることになります。この結果、上記のハーモニックパターンで下げてきても、再度、反発して上昇してくる可能性があることを示唆しています。
頭をよぎるあのパターン?
ただし、いずれの場合でも、ブルーのA波の動きが5波から構成される推進波でなかったことを考える方が重要で、現在の値動きには、少し気を付けなければならない相場なのかもしれません。
なぜなら、ABC調整波には、C波が推進波のようにみえる厄介なパターンがあるからです。「エリオット波動とハーモニックパターンPart2 : フラットやトライアングルなど調整波(Corrective Wave)」でも掲載したように、トレンド継続かと思わせる鬼のフラットパターンが存在します。
この見方に優位性があれば、シルバーは上昇トレンドにあるのではなく、調整波の中にいて、いずれ反転してくる可能性が高いと考えることができます。これは、先週などの記事で見たゴールドの動きと似ていますよね。またこのシークエンスは、以前どこかで見たチャートと似ています。2019年11月10日投稿のカナダドル円についての記事も下記に記載しているので、ご参照ください。
「ポンドはハーモニックパターンで律儀にアップムーブ♪ドルスイスもホワイトスワンで強烈に下げ-ちょっとちぐはぐした相場」