週のレビューでは主に通貨ペアを見てみましたが、ハーモニックパターンやテクニカル分析の基本がしっかり効いている相場です。7月の半ばから扱ってきたXLF(金融セレクト・セクターSPDR®ファンド)は、FXトレードだけしている場合でも見ておいて損のないチャートです。
FOMCの予想 < トレンドラインとチャネル
XLF demonstrates trend line resistance works and at the right time.
(注:この記事は2019年8月に投稿したものです)
なぜXLFを見ているのかというと、ここしばらくの市場の関心が米国の利下げにあったことが理由のひとつです。利下げは金融株と関連がないとは言い切れず、XLFはSPXに影響を与えるセクターです。仮にSPXが下落するなど大きく動くと、ドル円、特に円にも与える影響が大きいと考えたからです。
XLFは、ここしばらくの上昇では、フィボナッチエクステンションなどが伸び切ったエリアで横ばいになっており、「売りたいが踏まれそう」、「買いたいが年ピボットR1というレジスタンスが近いので、リスクあり」という場面が7月中ずっと続いていました。そして市場が迎えたFOMC。すでに、買いよりも下げ目線に優位性のあった相場だとチャートが示してくれていたと思います。ちょっと見てみましょう。
XLFは$28.40あたりでシンプルなプライスアクション!?
XLFの週足で見るチャネルとフィボナッチレベル
大きな時間足の週足を見てみます。
2007年の高値まで上昇してきている経緯があります。
そして引いたのが赤のチャネル、赤のフィボナッチ、ティールのフィボナッチエクステンション。ティールのフィボナッチエクステンションは2.618をすでにヒットして下落した経緯がありますね。
XLFの日足で見るチャネルとフィボナッチエクステンション
0.214とあるのは78.6%リトレースメントレベルのことです。また、0.214の下に見える赤の0.114(27.94)というのは、上記の週足で見た高値への戻り88.6%で、100-88.6で、11.4%でも間違いでありません。
(以前どれかの記事で記載したように、2018年や2007年の高値から下げるという目線であれば、フィボナッチを安値から高値に引いて、価格が下げて伸びていくターゲットを探すことになります。)
この画像に追加したのは、青のフィボナッチエクステンション。これは、4時間足や1時間足の2018年12月の安値から付けた最初の高値を使ったものです。上昇すると判断した場合、最初の高値から安値に対してフィボナッチを引くと、エクステンションレベルが出ます。
このレベルが4.618をヒットした5月には下落していますよね。その後、5.0のレベルをヒットして年ピボットまで伸び、さらに、週足で見たフィボナッチエクステンションも2.618%もあるため、「ここから買い上げるのはリスクあり」という判断ができていたわけです。
XLFの4時間足で見るレジスタンスとフィボナッチプロジェクション
薄紫のパターンで見るように、昨年11月の高値からのフィボナッチプロジェクション1.128のレベルでは反応して7月にレンジになりました。
また、左に追加したオレンジのフィボナッチエクスパンションは、7月に4.236レベルを達成していました。右側の小さなフィボナッチエクスパンションは、1.0のレベルが$28.57。ここまで来ると、レジスタンスがだんだんと根拠を集めて、固まってきているような絵柄でしたね。そして7月のレンジからのプライスアクションが興味深かったですね。
XLFの2時間足で見るプライスアクションの基本:リターンムーブとロールリバーサル(The Role Reversal)
2時間足まで下りていくと、上記の7月の記事で投稿した濃紺のラインとオレンジのチャネルに登場していただきます。
7月は、長期の赤のチャネルの上限もヒットし、ヘッドアンドショルダーズのようになっているので、これは来たか?と思わせ、うろうろ。これは結構イライラする動きだったかもしれません。
上記4時間足のフィボナッチエクスパンションなどを見ていると、「ここから買うのはリスクリワード比が悪いよね」という目線と、「いや、年ピボットR1はヒットでしょ?」という目線が交錯していた動きです。また、このヘッドアンドショルダーズが効けばオレンジのチャネルの下限をブレイクかというシナリオもあったと思います。濃紺のラインのようにメガホンパターンも気になっていましたね。
ですが、当時の週足ピボットポイントをギャップアップし、オレンジのチャネルを上抜けてからは、年ピボットR1をやっぱりヒットかという目線で、その動きを見守っていたと思います。
ですが、この年ピボットR1を付けたあたりでは、MACDはダイバージェンス気味でした。右上がりの小さな赤のチャネルと、青のパターンと緑のパターンのPRZ(潜在的反転ゾーン)も参考にしつつ、FOMCを待つという状況でした。(23日の投稿ではこの緑のパターンはピンク色でした)
その後、濃紺の上側のラインをギャップダウンして、その上限ラインにリターンムーブというプライスアクションを入れました。
ここから「今度はギャップアップして、やっぱり年ピボットR1をきっちりヒットするのかよ?」という目線もあり、少し難しい局面ではありましたが、画像中に示したように、赤のチャネルの上限と小さい赤のチャネルのミドルライン、濃紺のチャネルの上限ライン、週足のピボットなどが重なり、強烈な下げに転じました。重なったエリアをいったん上抜けたが、下に潜り込み、このエリアがレジスタンスとして機能した基本的なプライスアクション、ロールリバーサル(英語ではRole reversal)ですね。
でも、この後が問題です。
XLFの1時間足で見る推進波、それとも調整波!?
青の小さな5波が終了し、オレンジの一回り大きな5波の4波にいる可能性が考えられます。
オレンジのフィボナッチエクスパンションでは2.618のレベルである27.19まであと少しというところで反転していますが、その反転した場所は、オレンジのチャネルの下限。このチャネルは意識されているようです。
金曜日はこのオレンジのチャネルのミドルラインで上ひげローソク足。
また、薄い水色のボックスエリアはギャップがあった場所。このレベルがレジスタンスに代わってしまう、つまり27.80ドルより上はもう用無しと市場が判断し、黄色で示した下側の窓埋めを狙っているのであれば、このまま5波完了で下げてくるシナリオを考えないといけないですね。この場合、ボラはさらに高まりそうです。
4時間足のチャートで見るように12月からの上昇のフィボナッチが伸び切っていること、オレンジの一回り大きな5波が完了していないのであれば、紫のボックスで示したフィボナッチリトレースメントレベルの50%や38.2%などでプライスアクションが出るかを見ていきます。
下落に転ずれば、12月からの上昇に対するフィボナッチリトレースメントも見ていくことになりますね。とくにXLFは空いた窓がいたるところにありますので、窓埋めのために下落継続だと相当なダメージがSPX、しいては円にも出てくる可能性がありますね。
一方、この下落がABCの調整波だと考えているトレーダーもいると思います。なぜなら、調整波のC波が5波から形成される意地悪なパターンがあるからです。
週明けの動きが気になりますね。なお、SP500には買いのブラックスワン、US30には買いのクラブパターン、US100には買いのネンスターパターンが出ているので、短期的にアジア時間で買い戻しの動きが出てくる可能性も大ですが、NYセッションのオープンでXLFがギャップダウンするのかもう少し調整をするのか、月曜日の動きをしっかりと見ていきましょう。
過去記事もご参考ください。
「テクニカル分析:フィボナッチ、サポレジ、MAなどが重なるコンフルエンス(節目)の見つけ方 – Confluence」
XLF(金融セレクト・セクターSPDR®ファンド)については、以下の7月の記事もご参照ください。
7月18日投稿「クロス円、ドル円、米株式は短期的な反発の後を考える!?What harmonic patterns say」
7月23日投稿「ユーロポンドとゴールドのバタフライ、ドル円のサイファーからのメッセージ DAX & GER30 show the way」