このブログの記事でよく出てくる「ザ・伸び切りゾーン」。何なんですかね?いまさら聞けないではなく、今だからこそ探索してみましょう。伸び切りゾーンは、異なるフィボナッチツールを使ってはじき出した価格が伸びる先のターゲットゾーンで一番深いゾーンになります。では見ていきましょう。
色んなフィボナッチのキーレベルが重なると強烈な「ザ・伸び切りゾーン」
Multiple Fibonacci tools can show a zone where fib key levels form confluence.
フィボナッチはリトレースメントだけではないんです
ブログのメニュー内の「フィボナッチというツール」に、「フィボナッチはリトレースメントだけではないんです- Making the most of fibonacci tools」という記事があります。この記事では、よく使うフィボナッチリトレースのほか、ぜひとも活用したいフィボナッチエクステンション、エクスパンション、プロジェクションの引き方やフィボナッチの主要数値について探索しています。ご参照ください。
ここでは、このフィボナッチエクスパンション、エクステンション、プロジェクションを活用して、価格が到達しそうなターゲットゾーンをはじき出し、価格が伸びすぎゾーンから、すでに伸び切りゾーンにいるのかいないのかを見る一つの方法を探索していきます。
フィボナッチの「ザ・伸び切りゾーン」
ここしばらくの記事で、SP500などはフィボナッチの「ザ・伸び切りゾーン」にいると記載していたのを覚えていらっしゃるでしょうか?特に、ブラックフライデーに下落する前は、この「ザ・伸び切りゾーン」の中で、さらに上昇を試みていたかなりリスクの高い相場環境ではなかったでしょうか?
DJI(ダウ平均株価指数)で見ていきましょう。
ダウの月足:大きなフィボナッチレベル
ずいぶん前の2018年に一度投稿した「ダウ:フィボナッチエクスパンションなどを使ってはじき出すフィボナッチ数値- A zoom-in of DJI」でも探索したのですが、現在のDJIも面白い絵柄になっています。
こちらは今の月足チャート。
まず、画像左側にピンクでフィボナッチプロジェクションを描画しています。このプロジェクションは、2007年の高値から2009年の安値に向かって引いています。画像の右側にピンク色で3.618とあるのが見えますよね。これが意味するのは、2021年の後半、この大きな月足レベルのフィボナッチプロジェクションで見た3.618%のエリアに到達しているということになります。価格で言うと$34,483.69になっていて、この価格は市場が意識する可能性のある価格レベルとなります。
ダウの日足で見るフィボナッチプロジェクション3.618%
こちらは、上記で見たフィボナッチプロジェクション3.618%のある$34,483.69あたりにズームインした日足のチャート。
サポートになったり、レジスタンスになったりと意識されているのが見えます。また、この日足で見ると、高値となった$36,594.74に、4.236と表示されているのが見えます。
このフィボナッチレベルは何なのかを見てみましょう。
ダウの日足で見るフィボナッチエクステンションとエクスパンション
こちらは、上記の画像を少しズームアウトしたものです。4.236と表示されているフィボナッチは、パンデミックが始まった2020年頭からの下落でつけた安値と、反発して付けた高値を使ったフィボナッチエクステンションのレベルになります。今年11月にここをヒットしたのがわかります。
そして、画像中にハーモニックパターンのように描画した紫のパターンがあります。このパターンのXからDの間に1.619とあるのが見えます。これは、昨年2月の高値と3月の安値を使ったフィボナッチプロジェクションの値です。黄金比率ですよね。
また、BからDまでは4.293となっているのですが、これはフィボナッチの主要数値の4.236を少し超えていることを意味しています。
この安値からの上昇の動きで見えてくるものがあります。紫のパターンのBからCを例にとると、プルバックが非常に浅く、それ以外の場所でも浅いまま上昇を継続していることがわかります。
ダウの「ザ・伸び切りゾーン」とその他のテクニカル要素
こちらは上記のチャートに他のテクニカル要素を付け足したもの。
先ほど見たフィボナッチプロジェクション3.618%のある$34,483.69の少し上に走るオレンジの点線が見えると思います。
これ、なんだかわかりますか?今年の年足ピボットポイントレジスタンス1(Yearly Pivot R1)になります。明らかにプライスアクションが出ているのがわかりますね。今週は下ひげローソク足で終わったものの、このピボットポイントR1を上に抜けられてない状況です。
可能性として考えられるのは、紫のパターンで見えるフィボナッチプロジェクション1.618に優位性があるというシナリオがひとつ。この場合、赤の矢印で示したように、ダウは一旦深いプルバックをする可能性があります。ターゲットは、ピンクのボックスに見えるフィボナッチエクステンション2.618%あたりまでか、濃紺のトレンドライン。
逆にこの年足ピボットR1を上に抜けて押し目を付けた場合は、フィボナッチエクステンションの4.236の次の4.618のある$38247.36あたりまで上昇することも考えられます。
この場合でも、目に留まるのはオレンジの年足ピボットの次のレジスタンスR2。ここまで来たら、天井を付ける可能性の方が高まるのではないか?「ザ・伸び切りゾーン」の深い場所に年足ピボットR2が重なれば、かなりのレジスタンスになります。
フィボナッチは先行指標です。価格が到達するターゲットゾーンを事前に把握できるという便利なツールですよね。ここでは、月足と週足など大きな時間足で見ましたが、4時間足、1時間足、さらには1分足でもその時間足でのターゲットゾーンをはじき出して、さらに「ザ・伸び切りゾーン」がどこになるかを知ることができます。
ダウの直近下落の「ザ・伸び切りゾーン」
こちらは直近のプライスアクションを示したDJIの4時間足のチャート。上記では長期足を見てみましたが、この4時間足にもフィボナッチツールがはじき出すお宝エリアが隠れています。
直近高値と次に付けた安値を使って緑でフィボナッチエクステンションを描画しています。金曜日のプライスアクションを見ると、緑のフィボナッチエクステンション3.618%を下に抜けて反発しているのがわかります。
これは4時間足で見える「ザ・伸び切りゾーン」ということになります。さらに深くプルバックするのであれば、蛍光ブルーのボックスに見える$33,810.38あたりがターゲットになりますが、窓を開けてしまっているので、窓埋めの動きに出る可能性もあります。
ダウの今の価格帯から、「乗り遅れたくない!」と売りで参入すると、上に持っていかれる可能性も大。なぜなら、価格は直近の下落の「ザ・伸び切りゾーン」にいるからです。急反発しても焦らない!ということになります。
何となくフィボナッチではじき出す「ザ・伸び切りゾーン」について理解していただけましたでしょうか?
チャート分析をする時は、目の前の短期的な動きにとらわれず、左側にある過去の値動きで形成した山谷を使って、フィボナッチのレベルをはじき出しておくことも大切だと思います。「ザ・伸び切りゾーン」に入ってくると、まさしくブラックフライデーの下落のように、ボラティリティが上がります。
この後の動きはまだわかりません。週明けのプライスアクションを待ちましょう。