フィボナッチ88.6%: 最後の砦、エリオット波動、ハーモニック Part2– Fibonacci 88.6%

フィボナッチ88.6%について探索した記事の後半(Part 2)となります。ここでは最後の砦であるフィボナッチ88.6%が突破された場合を考え、88.6と関係のある1.128にも触れています。

フィボナッチ88.6%:「最後の砦」が崩れそうな時

Part 1で見たように、直近の高値、あるいは安値に対して、フィボナッチリトレースメントの88.6%まで価格が到達した場合、素直に価格が反発してくれれば問題ないのですが、頼りにしていた「最後の砦」が突破される事態も、相場にはよくあります。

テクニカル分析の基本という視点からいうと、チャート上では、高値や安値を更新しているのでそれまでにトレンドが出ていた相場であれば、ダウ理論継続という目線になります。ハーモニックパターンの視点からいえば、PRZ(潜在的反転ゾーン)突破したということになります。

ここしばらく見ていたいろんなチャートでは、とりわけ1時間以下の短期足で、フィボナッチリトレースメントの88.6%で素直に価格が反転しないケースによく出くわします。その時のセンチメント、経済指標などの結果、要人発言などに基づいた短期的なスパイクなどいろいろ要因がありますが、あるチャートで価格がフィボナッチの88.6%まで戻ってきた時には、その周辺の環境をもう一度チェックしておくといいかもしれません。

例えば、2017年12月に投稿していた下記の記事では、豪ドル円にバットパターンが形成か?というシナリオも描いていたのですが、結果的に「最後の砦」は突破されました。

レジスタンスの節目:オージー円 VS バットパターン AUDJPY IN KEY RESISTANCE AREA

豪ドル円とAUDUSDのテクニカル分析、フィボナッチレベル、ハーモニックパターン – その後の動き

88.6と逆数関係にある1.128という鬼のキーレベル

豪ドル円やAUDUSDの動きから見えることは、フィボナッチリトレースメントの88.6%の価格帯を突破した後は、直近の高値や安値を更新したからその方向にポジションを持とうと考えるのではなく、このブログでもよく登場していただく「フィボナッチ1.128%という鬼のキーレベル」とそれを使う「鬼の新種のハーモニックパターン」が存在することを知っておくということです。

1.128と88.6が逆数関係にあることも面白い事実ですよね。

1.128%という数値は、「フィボナッチの隠れた鬼のキーレベル1.13(1.128)Fibonacci & Harmonic patterns」でも探索したのですが、高値更新や安値更新をしたと見せかけて、上ひげや下ひげを付けたローソク足を出した後、逆走する鬼のフィボナッチ数値です。

テクニカル分析の視点から見ると、フィボナッチツールには1.128という数値がデフォルトで設定されていないこと、また、フィボナッチプロジェクションの知名度が低いため、毎日のトレードで意識している人はあまりいないかもしれません。むしろ、移動平均線の傾き、その時間足での高値や安値更新でダウ理論継続、サポートやレジスタンスの場所の確認といったテクニカル分析の基本を活用してチャートを見ていると思います。

そして、こういったテクニカル分析の基本だけでは見えてこない相場環境に根拠を添えてくれるのが、ハーモニックパターンになります。

例えば、トラディショナルなバットパターンが築いた「最後の砦」を超え、安値や高値を更新したら、ダウ理論継続という目線になるのですが、フィボナッチプロジェクションの1.128%を使うシャークパターンや変形バットといったバットパターンの親戚がここぞといわんばかりに登場することがよくあります。笑

この場合、フィボナッチリトレースメントレベルの88.6%が築いていた最初の「最後の砦」に押し戻されるか、抜けたはずの「最後の砦」をV字回復で逆に抜き返し、何もなかったように、元々想定していた方向に動くという鬼の値動きを見せます。

さらに、エリオット波動を学ばれている方なら、フィボナッチの1.128%の辺りに価格がある場合、あることを思い出しているかもしれません。

そう、先ほど触れた「調整波がフラットパターンの場合、B波のリトレースメントレベルは、A波に対する90-105%」というガイドラインです。この105%というのが曲者ではないでしょうか? 105%の辺りにある価格は、市場の目線が高値や安値更新となっているため、買いが買いを呼ぶ、売りが売りを呼ぶ状態で、その方向に伸びようとしています。

105%まで価格が伸びてしまえば、フラットパターンやエクスパンデットフラットパターンという厄介なパターンを考えるに値するということになります。

そして、こういう場面で検出されるシャークパターンや変形バットは、エリオット波動ともつながっている、意味のあるパターンだということがわかります。

とくに、買いが買いを呼ぶ、売りが売りを呼ぶ状態で、値動きが3つの波から構成されていたり、価格が重なり合うような汚い値動きであれば、それは、推進波ではなく調整波が継続していることを意味しており、このような調整波で高値や安値を更新しても、トレンドの継続ではなく、いずれ逆の方向に弾ける可能性の方が高いというシナリオが描けますね。余談ですが、こういう場面では、ブラックスワンという新種のハーモニックパターンもよく検出されます。

フィボナッチ88.6%のまとめ

テクニカル分析の基本であるフィボナッチを使って、フィボナッチリトレースメントレベルの88.6%を導き出すことで、サポートで売って、レジスタンスで買うという負けトレードは避けることができます。ハーモニックパターンインジケーターがバットパターンを検出しているときは、その価格帯が「最後の砦」となっていることがうかがえます。

この「最後の砦」を突破してしまった場合でも、テクニカル分析の視点から言うと、サポートやレジスタンスでの攻防の最中にあり、オーバーシュートしている可能性もあることを頭の片隅に置いておきます。ハーモニックパターンという武器をつけ足すと、オーバーシュートした値動きで、変形バットやシャークパターンといった新種のハーモニックパターンが検出される可能性があることが想定できます。エリオット波動分析から見た場合、フラットパターンやエクスパンデットフラットのような意地悪な調整波を築いている可能性が想定されます。

これらに共通しているのは、いずれのチャート分析方法でも、「突っ込み売りや高値掴みに終わる可能性がまだ残っているよ」というリスクがあることを示唆していることになります。フィボナッチリトレースメントレベルの88.6%は、ある意味、奥が深いです。フィボナッチ、ハーモニックパターン、エリオット波動のフラットパターンも併せて垣間見れますよね。

なお、ハーモニックパターンインジケーターが便利な点は、私達トレーダーが見るべき優位性のある高値と安値を教えてくれていることです。つまり、水平線・ラインを引く場合、どの高値と安値を使うべきか手助けをしてくれていることになり、無駄なラインを引いたりすることがなくなります。

フィボナッチ88.6%、エリオット波動、ハーモニックパターン関連記事

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