エリオット波動とハーモニック Part 2 (続編): 調整波のトライアングル&スラスト

エリオット波動の調整波とハーモニックパターンをテーマとした記事「エリオット波動とハーモニックパターンPart2 : フラットやトライアングルなど調整波(Corrective Wave)」の続編となります。記事が長いので後半をこちらに別途掲載しております。

トライアングル(三角持ち合い)とガートレーさんは相性がよい

調整波のトライアングルの基本

フラットパターンよりもよく知られている調整波には、ABCのジグザグのほか、三角持ち合いやペナントといわれるトライアングルがあります。

Triangle patterns調整波のトライアングル(三角持ち合い)とハーモニックパターン
トライアングルの種類(Source: EWI)

そのトライアングルにもいろいろと種類がありますが、共通しているのは、トライアングルの中の波は、「3-3-3-3-3」といわれるように、すべて3つの波から構成されること。フラットパターンのような5波から形成される波はありません。

ユーロドルなどのチャートを見ていて、このようなトライアングルが形成され始めると、上下に行ったり来たりとなり、「レンジ相場」、「方向感がない」という言葉で表されますよね。この時、おそらく移動平均線も絡まっている状態だと思います。

トライアングルにもガイドラインがあるのですが、とりわけ良く出てくる三角持ち合いと同じ黄色でハイライトしたコントラクティングトライアングルを見てみましょう。

調整波のコントラクティングトライアングル

コントラクティングは収縮しているという意味があります。高値が切り下がるが、安値も切りあがるパターンです。このコントラクティングトライアングルのガイドラインは、ABCDEの各波の関係について、フィボナッチリトレースメントの61.8%–78.6%に言及しています。つまり、Cは、AからBの波に対するフィボナッチリトレースメントの61.8-78.6%まで戻す(リトレースする)ということになります。

コントラクティングトライアングルが徐々に形成されているように見える相場では、AとCが形成されれば、この2点をつなぐラインを引きます。その後、Cからの上昇であるDが直近高値のBを超えないことを確認します。超えなければ、「いよいよトライアングルも終盤?」と考えることができます。

トライアングルの完成地点となるEの地点は、AとCを結んだライン上で、なおかつ、直近の波であるCに対するフィボナッチリトレースメントの61.8%–78.6%で完成されるという目線になります。このトライアングルの場合は、行ったり来たりするので、往復びんたを食らいやすく、ストレスがたまりますが、背景を理解しておくと、待つことに意味があることがわかります。なぜなら、E地点が完成すると、次は、トライアングルからのブレイクというプライスアクションが生まれるからです。

SP500:調整波のトライアングル、ガートレー、そして気を付けたい「スラスト」

SP500 Futures Triangle, gartley, thrust 25 Oct SP500フューチャーズのトライアングルとガートレー‐エリオット波動これは、2019年10月26日に投稿した「トライアングル(持ち合い)とガートレーから上昇を想定できたSP500、プルバックが何となく浅いポンドやユーロ達!」で見たSP500のコントラクティングトライアングルです。

茶色のライン上で、フィボナッチリトレースメントの78.6%を使うガートレーが検出されました。なお、エリオット波動分析では、ハーモニックパターンを扱いませんが、78.6%というフィボナッチ数値を使っている点が共通していることがわかりますよね。

その後はというと、価格は、トライアングルを上にブレイクしていきました。トライアングルの種類はたくさんありますが、収縮されていくコントラクティングトライアングルの中でガートレーパターンが検出された場合、エリオット波動分析だけを使っているトレーダーのトライアングルの見方と同じ目線を持っていることになりますよね。

ちなみに、上記のトライアングル一覧にある一番下の左側のようなエクスパンディングトライアングルのガイドラインを見ると、「通常、CはAの161.8%、DはBの161.8%、EはCの161.8%」となっています。フィボナッチの黄金比率が使われていますね。そして、ハーモニックパターンで1.618と聞いて思いつくのは、ディープクラブやクラブパターンです。DからEにかけての3波の動きで、ABCDパターンも何となく想定できませんか?ABCDパターンには、Part 1のABCDパターンの項目でで見たように、CからDまでの波が、AからBの波に対して1.618倍になるABCDパターンがあります。

スラスト(Thrust)というプライスアクション

トライアングルが形成され始めた時に、思い出しておきたいのは、このパターンは、推進波の第4波、あるいは調整波のB波にのみ形成されるというガイドラインがあることです。

トライアングルをブレイクするという動きは、押しやるとか突き刺すという意味を持つ「スラスト(Thrust)」という言葉で表現されます。ベアトラップやブルトラップという言葉があるように、「スラスト」は、そのトレンドにおける「最後の動き(Ending move)」となる可能性が高いということになります。

2019年10月26日に投稿した「トライアングル(持ち合い)とガートレーから上昇を想定できたSP500、プルバックが何となく浅いポンドやユーロ達!」では、先ほどのSP500のガートレーからの動きを掲載しています。ご参照ください。

次の「エリオット波動とハーモニック Part3:推進波とブラックスワン(Impulsive wave & Blackswan)」では、傾いたセンチメントと縁が深そうな推進波に出るハーモニックパターンや、78.6%など関連記事を探索していきます。