フィボナッチ4兄弟を徹底的に使おう(さらなる応用編) Fibonacci tools and beyond

4つのフィボナッチツールの使い方に関する記事の最終編です。テクニカル分析の基本と合わせて使うことで、プライスアクションが出そうな価格帯をかなり効率よく見つけられることが見えてきました。ここでは、フィボナッチの応用などもう少し見ていきます。

トレンド、カウンタートレンド、時間足:フィボナッチ4兄弟の使い方に終わりなし!

一番最初の記事で見たのは、高値と安値の間でどのレベルまで価格が戻すかを見るために使うのがフィボナッチリトレースメントで、価格が伸びる先の目標値を探るために使うのが、フィボナッチエクステンション、フィボナッチエクスパンション、フィボナッチプロジェクションという3つのツールであることを学びました。

特にエクステンション、エクスパンション、プロジェクションは、上昇トレンドであれば、その立ち上がりに形成される最安値、最初の高値、切り上げた安値からなる最初のひと山、下落トレンドであればその逆で、最高値、安値、戻り高値を使う最初の谷に使うことでターゲットが見えてくることがわかりました。

とはいうものの、実際にフィボナッチツールを使って、MT4やトレーディングビューに描画しようとした際、頭では分かっていても、「安値から高値?高値から安値?」というように迷いは出てきます。これに対する簡単な答えは、「どちらに向かって引いても間違いではない」ということです。このブログでも、フィボナッチリトレースメントレベルの61.8%が38.2%と表示されていることがよくありますが、どちらでも間違いではないです。

言わずと知れた先行指標:縦軸(値動き)

これは2021年2月25日のドルインデックス(DXY)のチャート。ブルーで引いているフィボナッチツールに注目します。

DXY フィボナッチエクステンション Fibonacci Extension 2 March 2021

画像左の1月につけた最安値、画像やや真ん中の2月の直近高値、そして切り上げて形成した25日の安値で、ひと山を形成しているのが見えると思います。ヘッドアンドショルダーズパターンのネックラインを割ったように見えるので、売り継続かという場面のようにみえますが、これについては別の記事でだましの可能性について触れています。

買い目線の場合:しばらく下落トレンドを形成していましたが、トレンドへの反発上昇の開始が間もなくかなという目線でいたので、チャート上では、価格は上に向かって行くということを想定することになり、どこまで上昇するかを知りたいですよね。

その1:この場合、最初の記事で見たフィボナッチエクステンションの引き方をそのまま適用し、画像真ん中の2月の高値にフィボナッチツールをあてて、1月の最安値に向かって引きます。ブルーのフィボナッチエクステンションからはじき出された127.2という数値がチャートの上の方に見えます。1.272%もフィボナッチの主要な数値であり、ここが価格が伸びる先の一番目の目標値候補になるのではないかというシナリオになります。

その2:それと同時にこの同じブルーのフィボナッチツールで、1月の最安値に対して、今どこまでリトレースしているのかを見ることもできますよね。ちょうど21.4%の場所に価格が到達しています。21.4は100-21.4=78.6でフィボナッチ78.6%と同じです。

売り目線の場合:これとは反対に、ドルインデックスはまだまだ下落トレンド継続という目線であれば、価格がチャートの下方向に行くことになるので、ピンクのフィボナッチを追加してみていきます。

その1:25日の切り上げ安値から2月の高値に向かって引いたピンクのフィボナッチからみえるのは、$90.400の黄色のボックスエリアあたりに38.2%という主要な数値があること。上記の買い目線とは逆にフィボナッチを引くので数値が反対になります。61.8となっていますが、61.8%は100-61.8=38.2で38.2%と同じことです。

その2:さらに売り目線なので、このピンクのフィボナッチが示すエクステンションレベルを一緒に見ることもできます。画像の右下にかけて、1.272%(1月の安値ラインと重なって見づらいです)、1.382%、1.618%と表示されています。

従って、フィボナッチをどちらに向かって引くかについては、正解不正解はないということになります。数値は反対になりますが、同じことであり、フィボナッチエクスパンションでも、フィボナッチプロジェクションでも使い方は同じです。

トレンドかカウンタートレンドか?長期足から相場の環境認識をする

ドル円などのチャートを見ていてお気づきだと思いますが、相場はフラクタルです。フィボナッチのリトレースメント、エクステンション、エクスパンション、プロジェクションは、1分足、4時間足、日足のどの足でも機能します。時間足が異なると、フィボナッチをどっちの方向に引けばよいのかわからなくなることもあります。

そして、ここで重要になるのが環境認識です。例えば、今のドルインデックスは、日足など長期足では下落トレンドを形成しています。

DXY フィボナッチの引き方 How to use Fibonacci 2 March 2021これは、ドルインデックスの日足のチャート。上記で見た部分は画像の右下になります。

今年1月の最安値は同じですが、このチャートの左側に、2020年3月につけた高値が見えます。この高値と安値でフィボナッチリトレースメントを使って、リトレースメントレベルを出しておくと、今どこに価格があるのかがよくわかります。実際、38.2%、50%、61.8%のレベルとは程遠い下の方にいますよね。

仮に、現在の上昇反発が1時間足や4時間足で継続する場合は、この日足の下落トレンドに逆らうカウンタートレンドの動きであり、1時間足や4時間足という短期の時間足に限った上昇トレンドを築いているという理解になります。4時間足に対して15分足など、時間足が変わっても同じことです。

そして、この1時間足や4時間足での上昇トレンドについて、トレンドの出ている波の初動からフィボナッチエクステンションやエクスパンションの2.618%、3.618%、4.236%、4.618%、あるいは5.0%まで価格が伸びてくることも想定できます。すでに1.272%の最初の候補は上記で見ましたよね。

長期足のリトレースメントレベルがはじき出す価格帯と、短期足のカウンタートレンドの上昇の動きに引いたプロジェクション、エクスパンション、エクステンションから見える価格帯が重なれば重なるほど、そこは注意したい節目であり、お宝が眠っている可能性が高いです。

トレンド継続か、トレンド転換か、特定の時間足に限っての新たなトレンドの形成かなどチャートから見える相場環境に合わせて引くことになるので、やはり結果的に、フィボナッチをいつも同じ方向に引くことにはなりづらいです。

なお、売り目線でも買い目線でも共通しているのは、価格が伸びる先の目標値である価格帯を見ることで、値幅という縦軸を見ていることになります。フィボナッチの1.272%、1.618%、2.618%、3.618%といった主要な数値が重なる価格帯までのピップ数を見ていることになるともいえます。

フィボナッチで利確や手じまい。リスクリワード比率の悪いポジションも避けよう

こうした大トレンドの方向と、それに対するカウンタートレンドの方向の両方にフィボナッチを使うことに慣れてきて、大トレンドへのリトレースメントレベルと、カウンタートレンドに使うフィボナッチのエクステンション、プロジェクション、エクスパンションの1.272%、1.618%、2.618%、3.618%といった数値が重なる価格帯が先に見えるようになると、実際のトレードで有利になります。

なぜなら、こうした主要な数値が重なる価格帯では、目標値到達達成ということでポジションの手仕舞いや利確が入るので、急落や急騰も含めたプライスアクションが活発になることを事前に察知できるからです。さらに、自分がポジションを持っている場合は、こうした節目で一旦利確という行動をとれます。

言い換えれば、トレンドが出てしばらくたった後に、「乗り損なった!急いでポジションを取らなければ」と衝動に駆られたエントリーを避けることもできますよね。フィボナッチツールがはじき出すレベルを先に見ていれば、他のトレーダーが利確準備に入っているようなポイントを前にして、リスクリワードの比率の悪いエントリーをしなくて済むという考えになります。高値掴みや突っ込み売りなど、「尻尾」をつかまされるという負けトレードを避けることができます。

このブログでよく使うフィボナッチが示してくれる「ザ・伸び切りゾーン」では、トレンド転換や利確を見越して待ち構えているトレーダーがいることを察知でき、プライスアクションを見るために待つという判断ができるようになります。

言わずと知れた先行指標:横軸(時間)

リトレースする場所や伸びる先の目標値、これらは値幅やピップスという縦軸ですが、フィボナッチをもう一歩踏み込んで探索すると、時間という横軸も一緒に見えてきます。そしてこの時間という横軸についてもフィボナッチが活躍しており、フィボナッチファン、フィボナッチアーク、フィボナッチタイムラインなどいろいろなツールが存在しています。

フィボナッチ、ハーモニックパターン、エリオット波動

DXY Bullish Gartley ドルインデックスの買いのガートレー 25 Feb 2021

このブログでは「フィボナッチでハーモニック」というタイトルを付けています。

なぜかというと、フィボナッチリトレースメント、エクステンション、エクスパンション、プロジェクションという4つのフィボナッチツールを組み合わせて使っている応用がハーモニックパターンだからです。

こちらは、上記のドルインデックスに出ていたガートレーというハーモニックパターン。ブルーのフィボナッチのリトレースメントレベル78.6%ぴったりで形成された文句なしのパターンです。

ハーモニックパターンは、チャート上で、高値と安値を見つけてバットやバタフライなどに見えそうなパターンを単純に描画しているわけではないんですね。

そして、時間という横軸の存在をもっとよく理解できるのが、こちらのハーモニックパターンになります。

USDCAD 18 FEB 2018これは、2015年に形成されたUSDCADのガートレーパターン。時間足はドルインデックスと異なり、月足になります。時間をかけてローソク足が形成していた来た動きにフィボナッチ比率が隠れているということで、時間の概念がよくわかる事例です。

環境認識やテクニカル分析では、「チャートの左を見ろ」とよく言われます。この時間の概念があることも理由の一つになっていると思います。

これ以外にも、ハーモニックパターンでは、フィボナッチエクステンションとフィボナッチプロジェクションといった普段あまり使わなさそうフィボナッチツールが大活躍する場面が多くあります。検出されるパターンが表示するフィボナッチの比率からの学ぶことも多く、1.272%、1.13%、1.618%などフィボナッチの主要な数値が表示されると、そのルールに従ってプライスアクションが活発になり、経済指標、センチメント、自分の目線が通用しないことを実感します。

フィボナッチツールの基本の使い方を理解すると、ハーモニックトレードへの理解も早くなり、チャート上にハーモニックパターンで使うXABCDから構成されるパターンが見えてくるようになります。自分でチャート上に描画して見つけたお宝発掘の節目に価格が到達したその時に、オートハーモニック検出インジケーターがパターンを検出してくれると、「鬼に金棒!」ということになるわけです\( ‘ω’)/

このほかにも、フィボナッチツールが外せない分析方法があります。推進波や調整波(修正波)という波がよく知られているエリオット波動分析になります。第3波の伸び具合や、第2波と第4波という調整波での動きでも、波の形だけではなく、フィボナッチツールを必ず使っています。

もうお気づきかもしれませんが、フィボナッチを学ぶと、エリオット波動分析とハーモニックパターンがつながりのある分析方法であることが見えてきます。

上記のメニューから、ハーモニックパターンのメリットやデメリット、ハーモニックパターンとエリオット波動などの各記事をご参照ください。