ハーモニックパターンを使う際に気を付けたいことを記載した「ハーモニックトレードの気になるデメリット編 Pros & cons of Harmonic trading Part 2」の記事が長いので、後半をこちらに分けて続編として掲載しています。デメリットとされることでも納得がいく理由などをシェアしています。
ハーモニックパターンとうまく付き合う方法
Harmonic patterns are still efficient.
ハーモニックトレードのデメリット!?(続編)
短期足のパターンは長期足の相場環境を把握したうえで対処 (;´д`)
ハーモニックパターンは1分足でも検出されますが、当然ながら、反転して獲得できるピップ数は小さくなります。そして、上位足のサポレジ、フィボナッチの主要レベル、ピボットポイント、移動平均線など重要な節目を意識し、トレンドに逆らっているのではないかと相場の環境認識をしておかないと、急落などに巻き込まれることがあります。逆に言えば、この場合、ハーモニックパターンが使えないということではないですよね。
例えば、EURUSDで日足、4時間足でダウントレンドの最中に、5分足などで買いのパターンが出た場合、それが意味するのはトレンドに逆らう反発の動きという可能性です。このトレンドに逆らった動きが、チャネルに収まる3波からなる調整波であれば、その調整波終了後に、売りのABCDパターンなどが出る可能性が高まります。
これは、「0.786 vs DJI – ダウ vs 0.786, ABCの調整波があるものに見えて仕方ないです」で投稿していた2018年のダウ平均株価指数の1時間足のチャートです。
まず、ダウの1時間足のチャートで一番左にある緑のチャネルを見てみます。ABCと3波からなる調整の動きでした。N字のようになっておりABCDパターンを想定できますよね。
その後どうなったかというと、価格はチャネルを下にブレイク。そして、一旦反発し、下抜けしたこの緑のチャネルの下限にきれいにリターンムーブを付けてから、再度下落しています。
また、ピンクのバットパターンのC地点からD地点への動きも見てみてください。5分足や15分足など、短い時間足だけ見ていると、一旦は1時間の20MAを超えたようにみえますが、結果的には、トレンドに逆らった動きで、下に落とされています。それ以降、ダウは、ガートレーやバットなど、連続して売りパターンが出ていますね。
1時間足のダウントレンドの最中に、15分足など短い時間足で買いパターンが出て反発しても、大きな時間足の売りのパターンの方に優位性があります。このチャートが4時間足であっても同じです。日足ではダウントレンドの最中なので、買いにはリスクがあるということです。むしろ、上位足のトレンドに沿った順張りの方向への値動きを示唆するハーモニックパターンを優先して、順張りで売りのエントリーをする方が無難です。
ハーモニックパターンインジケータの精確さがあだになる(`Δ´)
ハーモニックパターンが出現し、 それまでのトレンドが転換することに優位性を見出した場合、その後は何の障害物もなく、価格がするすると継続的に思った方向に動いてくれることを期待しますよね。とはいえ、大きな時間足でハーモニックパターンが出た後、小さな時間足でそれとは反対の価格の動きを示唆するパターンが出現することはよくあります。
上記の「小さな時間足のハーモニックパターンは大きな時間足の相場環境を把握したうえで対処する」では、進行中のトレンドに逆らった動きについて説明してましたが、ここでは、実際にトレンド転換に優位性があるケースになります。
例えば、売りのディープクラブが日足で出て、売りポジションを立てたが、その後、1時間足などで買いのガートレーが出てきてしまう場合、「え、売りじゃないのかよ?このままガートレーで買い上がるの?」という不安がよぎります。
2018年6月の最終週のSP500(ES1)のプライスアクションは、まさにこの状況を表現しています。
週の半ばにかけて4時間足で大きなブルーのガートレーが出現し、価格は反転上昇。その後、価格は下落し、次はピンクのバットが形成されて価格は反転。
7月に入り、買い手を欺くかのように、オレンジのシャークパターンが出て、また下落しています。買い手にとってはかなりイライラする場面です。
買い目線であれば、売りのシャークパターンとコンビネーションを作る買いの黄土色のような5-0パターンで止められるかを見ていきます。そのほかにも、移動平均線、サポレジ、ボリンジャーバンド、ピボット、RSIなどのオシレーターなどを見て判断をしていく必要があります。
仮に5-0パターンで価格が反転し上昇しても、直近の高値を超えなければ、ダウ理論成立で、目線は下のままという面倒な相場です。
移動平均線がまだ下向きですので、レンジになりましたが、最後の小さい緑のバットパターン。これが、ようやくとどめを刺しましたよね。その後はというと、強烈に上がっていきました。
トレンド転換に優位性があると自信があっても、アップダウンの価格帯につかまることは頻繁にあります。なぜなら、移動平均線などのテクニカル、その時の経済指標やセンチメントなどを背景に、買いと売りが攻防しているからです。特に、5分や15分足の5MAや、8MAといった短い移動平均線が上向きであっても、長期の移動平均線が下向きという環境ですので、相場は荒れます。
新種のハーモニックパターンが混乱の原因になり、含み損などクールさを失っている場面では、厄介な障害物に見える。
さらに状況を悪くするのが、こういう荒れた動きを見せる相場で、5分足や15分足などの短い時間足で出てくるハーモニックパターンの存在です。ハーモニックパターンは、トレンド相場よりも、レンジ相場のサポレジのエリア付近でよく出現するので、買いと売りという一方向の目線だけ持っていると、アップダウンの動きに翻弄され、疲れます。
特にブラックスワン、ホワイトスワン、A-ネンスター、ネンスター、サイファー、A-サイファー、シャーク、5.0など、あまり知られていないパターンが検出されると、せっかくポジションを持ったのに、単なる障害物にしか見えません。わからなければ、エントリーせずに様子見をするなど、出てくるパターンに振り回されないようにするのも必要ですが、逆に言うと、それだけハーモニックパターンインジケーターの精度が高いということですので、こればかりは仕方ありません。
ハーモニックパターンを使ってトレードする際、何よりもまず、ハーモニックパターンを使っていないトレーダーや市場の目線があることを頭の片隅に置き、ハーモニックパターンのPRZが機能しなくても、焦らないことが大切のようです。その時の相場の勢い、ブルやベアなセンチメントの強さ、短期的に価格をスパイクさせる経済指標やイベント、他のテクニカル分析で見つけられるサポートやレジスタンスといった節目(コンフルエンスエリア)、そして上級者であればポジション動向など、相場を総合的に見ることも大切に思えます。
フィボナッチ数値とフィボナッチツールの基礎知識は必要 o (・ω・´o)
ハーモニックパターンは、フィボナッチの主要数値を使い、高値と安値である点と点をつないできるパターンです。星座のような感じです。フィボナッチリトレースメント、フィボナッチエクステンション、フィボナッチエクスパンション、そしてフィボナッチプロジェクションの使い方のほか、61.8、78.6、1.272、1.618といった主要な数値を覚える必要があります。私も当初は頭がこんがらがりましたが、難しく考えると余計にわからなくなるのがフィボナッチ。
これらのツールの基本の使い方やプロが見ている主要な数値をまず理解し、自分でツールを使って描くという最初のステップを取ることもできますが、オートハーモニック検出インジケーターを先に使うことで、検出されるパターンで目を慣らす、そして、そこから学べるものがあるんですね。
フィボナッチの数値とツールの使い方に慣れてくると、ローク足だけを表示したチャート上で、「これ、ガートレー?」というようにパターンのXABCD地点がだんだんと見えてくるようになります。下記のフィボナッチ設定値などを説明した「フィボナッチはリトレースメントだけではないんです- Making the most of fibonacci tools」もご参照ください。
長期の時間足に出るハーモニックパターン
「USDCADのモンスターなガートレーと5-0パターン – USDCAD: Monster Gartley & 5.0」
「ドル円のシンプルテクニカルとドルペアの長期足のハーモニックパターンで相場の環境認識を行う」
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