今週も強烈なプライスアクション展開中の相場。目を引いたのはA-サイファーという新種のハーモニックが効いてしまっているUS100やシャークのいるUS500。先週も米株式指数を探索していましたが、実はきわどいのが欧州株式指数とUSOIL。インフレやテーパリングなどニュースが飛び交いますが、今の相場の様子をシェアします。
フィボナッチ、トレンドライン:すげぇ~と言いたくなるプライスアクション
A trend change: an initial roll-over phase? SP500, US30 and US100.
トレンドライン、フィボナッチ、水平線が居座るなら仕方ないです
ドル円:いってこいかよ。
先々週に掲載していたドル円のホワイトスワンが効いた後、月曜日から下落し、木曜日から上昇。115.317円という隠れたキーレベルで攻防中のままですね。
短期足では売りのブラックスワンがいますが、ブラックスワンのPRZ(潜在的反転ゾーン)は115.559円。軽く下げても上昇を再開するのであれば、ターゲットは今月のマンスリーピボットのある116.422円あたりも想定できます。このブラックスワンが行き止まりのサインであれば、ターゲットは伸びれば112円後半か、113後半も視野に入ってきます。
ユーロドル:でかいトライアングル内の動き
ユーロドルは、以前記載したように月足で見ると大きなトライアングルを形成していそうな動きになっています。キーレベルの$1.16359を再びトライするのか?という場面ですが、超長期移動平均線がレジスタンスになっています。今一つわかりづらいのですが、今月のマンスリーピボットのR1をすでに超えている状況でもあるので、もう少し様子見です。
その他の通貨:EURJPY、GBPJPY、AUDJPY、CADJPY、CHFJPY
こちらは、左上から時計回りにスイスフラン円、カナダドル円、ポン円、豪ドル円のチャート。
気になるの絵柄になっていませんか?
ハーモニックパターンで言うと、ポンド円は売りのホワイトスワン、カナダドル円はシャークパターン、スイスフラン円はブラックスワンがいます。AUDJPYについては、今いる価格帯が肝のエリア。年足ピボットに重なるように移動平均線がかぶさってきているという場面です。EURJPYについては、ハーモニックパターンはいませんが、132.534に隠れたレジスタンスがありますのでこの価格帯での動きに注目です。
そして少し気に留めておきたいのが、AUDJPY、CADJPY、GBPJPYは資源にも連動する通貨であること。どういうことかというのは、下記のコモディティで探索してみます。ポンドルとユーロポンドについては先週の記事もご参照ください。
NZDUSDのスリードライブパターンは健在
先週掲載したNZDUSDのスリードライブパターンは健在です。月足と週足に居座っているので、肝のサポートが底になれば、長期的に買いあがってくるシナリオが引き続きオンになりますが、このラインを下に抜けてくると、ユーロドルと同じで次のキーレベルの$0.63908まで下落するシナリオも考慮です。
コモディティ:Goldのガートレー、USOILのサイファー
Goldの$1820.38とベアリッシュガートレーパターン
ゴールドは、1月24日に投稿したガートレーから、キーレベルの$1820.38をズブッと刺して続落した後、反発している相場ですので、この価格帯がレジスタンスになるのか、それともこの価格帯を再び上に抜けるのかに注目です。
USOIL Miniに出たサイファ―という鬼
USOIL Miniは、シナリオ通りに、ターゲットの$91.23をヒット。この価格帯は、すでに役目をはたして退場したブラックスワンのPRZ(潜在的反転ゾーン)とチャネルの上限がほぼ重なっている結構なレジスタンスのエリアです。
こちらは2月5日の様子。$91.23を刺したあたりに、XD=0.786という数字が見えます。フィボナッチリトレースメントの78.6%になります。
そして、登場しているパターンは、サイファーパターン。フィボナッチリトレースメントレベルの78.6%が目に入れば、ぱっと見は、ガートレーパターンにも見えますよね。
サイファーは、ガートレーと同じで、ハーモニックパターンの完成地点のDにフィボナッチリトレースメントレベルの78.6%を使います。ガートレーと異なる点は、Cの地点が直近安値を更新している点です。言葉だけだとわかりづらいと思いますので、「ハーモニックトレード Part3:新種のハーモニックという仲間達 Shark, Nenstar, Cypher etc」をご参照ください。
で、本題ですが、これ、1時間足でも4時間足でもなく、月足です。チャートの左にあるギャップも埋めた格好になっているので、今の時点で優位性のあるシナリオは、中期的な原油の下落。また、気になるのは、直近の上昇の動きでできてしまった窓。これを埋めるのであれば、ターゲットはサイファーが示すフィボナッチリトレースメントレベルの61.8%と重なる$53.14。
地政学的リスクなどいろいろニュースはありますが、この原油の動きには注目ですね。そして、忘れていけないのが、原油という資源と連動した通貨の動き。カナダドルはWTIとの連動が知られていますが、ポンドもブレントとの相関関係を持っています。ですので、先ほど見たCADJPYやGBPJPYなど、売りのパターンがいるクロス円は、円買いが重なると下落するシナリオもオンに入ってきます。
株式指数:平均は全ての事象を織り込む by Charles Dow
US100、US500 、US30
先週投稿していたダウのフューチャーズYM1のチャートでは、黄土色の年ピボットポイントで行ったり来たりした後、反発。US500のキャッシュも、到達していた$4414.10の最強レベルで行ったり来たりしてから反発してます。最強ラインが意識されているのが明確ですよね。
以前投稿しましたが、US100にはブリッシュなA-サイファーがいる相場です。
US100の場合、このA-サイファーと、$15121.68の間でうろうろしている状況です。安値を更新せず反発すれば、NDQのチャートで描画した点線と似た動きでアップムーブを展開する可能性もあります。
先週、3つのシナリオを描いておいたUS100のほか、US500、US30は似たようなフォーメーションになっていますよね。サポートやレジスタンスを形成する最強ラインからどうしたいのかを見守る場面でした。
そして、US100などの動きから、優位性を失ったシナリオがあります。第4波形成中か?という目線で見ていたシナリオ1になります。なぜなら、エリオット波動のガイドラインには、第4波は第1波と重ならないとあるのに重なってきたからです。
画像中真ん中に第4波が無効になったことを記載していますが、今週のプライスアクションを見ると、結構やってくれたなという感じですよね?
止まるだろうと見ていた茶色の年足ピボットを上に抜けたから、第4波を無効にしたのに、なんだよ~、そこからギャップダウンしとるじゃないかよ?という絵柄。
NDQ:シナリオ2が健在の場合
先週書いたシナリオには、窓埋めのスイングで再び上昇というシナリオ2がありました。ギャップダウンしてしまった今の価格帯から、再び年足ピボットを超えていく買い圧力があるかどうかと、空いた窓が鍵となります。
これを埋める格好で上昇を継続するケースで、トレーディングビューでも薄い水色でホワイトスワンが想定されているのが見えると思います。さらに上のほんの少しだけ空いている窓を埋めるのであれば、濃紺の点線で描画したように、売りのガートレーや61.8%パターンができるまでは、素直に下げてこず、売っても踏まれる相場となってしまうことが想定されます。
NDQ:シナリオ3が健在の場合
もうひとつあったのが、シナリオ3。ワン・ツー、ワン・ツーという第1波と第2波の形成を2回繰り返す、つまり、トレンド転換の初動の動きで、下落継続というシナリオをシェアしました。画像に、緑で1と2、iとii(1と2と区別するためにiとiiを使っています)というワン・ツーの2つ目を形成している可能性を描画していました。
この場合、次の動きは第iii波での下落。上記の画像では、緑のiとiiを赤に変えています。この2つ目のワンツーの形成というシナリオに根拠を追加しているのが、今週の直近の上昇の動きでできた赤のa,b,cという3つの波からなる動き。5波の推進波ではなく、調整波の形をしています。年足ピボットからギャップダウンしたプライスアクションを見ても、相当な売り圧力がいること、レジスタンスが硬いことがわかりますよね。
下落を開始し、iiiが完了すれば、次は、ivで上昇し、vで下落。この一連のi, ii, iii, iv, v波が完了するころには、センチメントも真っ暗だと思いますが、何もなかったかのように、買いあがってくる可能性が想定できます。先週の画像も併せてご参照ください。
先週と同じく、キーレベルは、茶色の年足ピボット。空いた窓を絶対に埋めるという保証も必要性もなく、下に行きたければ下に行くという相場環境が引き続きオンです。
同様に、US500キャッシュとUS100キャッシュにも、想定されるホワイトスワンが描画されているのですが、こればかりは、相場に聞かないとわかりません。
GER40、UK100
先週投稿していたGER40。米株式指数と同じように、年足ピボットの15136.80が意識されていて、サポートになっていたのですが、失速しています。
また、水曜日のプライスアクションは、明確ではなかったでしょうか?昨年からキーレベルの役割を果たしていた15725あたりの価格帯がきっちりとふたになっています。
こちらは、UK100のチャート。トレーディングビューで見えるUKXと同じくベアリッシュなブラックスワンが居座っています。少し上に年足ピボットR1がありますが、水色のボックスで示したギャップは埋めた状態です。
欧州株式指数も、米株式指数と同様、シナリオが複数描ける相場環境であり、このような場合は上下する可能性もありますが、ナスダックのワン・ツーに優位性が出てしまえば、相場は再び下落に転ずるので、ボラがかなり高まるかもしれませんね。
PRICE IN:経済指標やFEDの発表などの前後に、「市場はもうプライスインしている、していた」なんて言葉で市場のプライスアクションが説明されることがあります。発言や指標の結果に沿った想定通りのプライスアクションが出たり、想定以外のプライスアクションになっても、「すでに織り込んでいたから」と片付けられてしまうこともあります。
ここで思い出しておきたいのが、ダウ理論。ダウ理論の一つに、「平均はすべての事象を織り込む」という理論があります。雇用統計、失業率、金利政策などのファンダ、業績結果、自然現象などのあらゆる事象が、価格に織り込まれているということを意味しています。
これをわかりやすく言い換えたのが、「チャート上の価格がすべてである」ということです。インフレ、地政学リスク、要人発言、自然災害、そしてコロナ禍など、とにかくニュースには事欠きませんが、今見ているSPX、DJI、NDQなどのチャート上の価格がすべてということになります。
さらに、チャート上の価格とそれらが時間をかけて形成する波やチャートパターンを創りだしているのは私達トレーダーです。ニュースや要人発言で短期的に価格は跳んだりしますが、フィボナッチや移動平均線などのテクニカルツールを使っているのは、結局のところ、私達トレーダー。
それらを使えば使うほど、意識すればするほど、それらが示す場所が意識される価格帯になり、そこでプライアクションが起こります。「テクニカル分析:フィボナッチ、サポレジ、MAなどが重なるコンフルエンス(節目)の見つけ方 – Confluence」で、自己成就的予言(Self-fulfilling Prophecy)にも少し触れていたので、参考にしてみてください。
また何かあればアップデートしますね。