このブログの主役、ハーモニックパターン。エリオット波動と深い関係があることを探索した記事を上記のメニューから見ていただけるのですが、よく登場するバタフライ、ディープクラブ、クラブというパターンがエリオット波動と関係があるのかも少し見ています。
エリオット波動の推進波とハーモニックパターン:何つながり?
Harmonic patterns and Elliott waves
エクステンションタイプのハーモニックパターン
バタフライ、クラブ、ディープクラブのパターンは、ガートレーやバットパターンと同様、基本のハーモニックパターンであり、どの時間足でも良く出てくるおなじみのハーモニックパターンになります。
エクステンションタイプってどういうこと?と思われるかもしれませんが、「Extension(拡張、延長)」を意味するタイプになります。例えば、ガートレーやバットの完成地点は、78.6%や88.6%という直近の高値や安値に対するフィボナッチリトレースメント(戻し)のキーレベルになりますが、エクステンションタイプでは、完成地点Dが、起点のXを超えて延長(高値更新や安値更新)するためエクステンション(伸びる)タイプとなります。
すでに投稿している「ハーモニックトレード Part2:バタフライなど延長タイプのパターン Butterfly, Crab, Deepcrab」で探索したバタフライパターン、クラブパターン、ディープクラブパターンの成立条件などを少し見ていただくといいかもです。
エリオット波動の推進波とハーモニックパターンは別物?
メニューからアクセスできる「エリオット波動とハーモニックパターン Part1 前編: Elliott Wave, Harmonic Patterns」では、「マニアの産物と思われがちなハーモニックパターンと、わかりづらいという印象が先行するエリオット波動分析」について探索しています。
この記事と続編、そしてメニューからアクセスできる他のエリオット波動とハーモニックパターンをテーマにした記事では、ハーモニックパターンとエリオット波動分析が、全く別物ではなく、深くつながっていることを見たのですが、何つながりなのか?気になりますよね?
まず、エリオット波動でよく知られているのは、5つの波からなる推進波(Motive Wave、またはImpulsive Wave)と、3つの波からなる調整波(Corrective Wave)が1つのサイクルを構成していること。
勢いよく伸びている推進波に対するジグザグとした調整波(カウンタートレンド)の動きから、何となくガートレーやバットなどのハーモニックパターンが描けそうという感じになるのですが、そうではなさそうです。
とりわけ、推進波については、「エリオット波動とハーモニック Part3:推進波とブラックスワン(Impulsive wave & Blackswan)」で、ブラックスワンパターンの役割について探索しているのですが、推進波の動きが伸び切った場所でよく出てくるバタフライパターン、クラブパターン、ディープクラブパターンについてはとくに探索してなかったので、今回、この3つのハーモニックパターンと推進波について、見てみようということでこの記事を書いてます。
推進波に出るエクステンションタイプのハーモニックパターン
こちらは、SPXのチャート。たくさんラインを引いているので、見づらいのですが、まず、思い出したいのが、10月10日にバタフライパターンが出ていたこと。
短期的には、ニュースが何であれ反発という目線になっていました。その後、少しまた下げたのですが、安値を付けて、反発しています。
この最安値を使って描けるのがディープクラブパターンともいえるオレンジのパターン。突っ込み売り状態になったので、バタフライパターンから、ディープクラブパターンに変化したのですが、問題ありません。
オレンジのパターンに描画されているフィボナッチの数値を見てみます。XからDまでは、1.573、BからDまでは、3.615。これらは、フィボナッチの黄金数値に近いものになっています。
次に、CからDまでの波の動きを見てみます。赤で(1)から(5)までの番号で示した推進波。第(5)波が完成して、反発しているところということになります。
この赤の第(3)波の中に濃紺の①から⑤で描画したのは、このCからDの第3波の中にできたひと回り小さい5つの波からなる推進波。1時間足などを見ると、くっきりと見えると思います。フラクタルですよね。
波の形を理解したところで、先ほどのオレンジのハーモニックパターンを当てはめてみます。当初はバタフライでしたが、ズブッと下げ伸びてディープクラブパターンになったものの、その後、価格が反発していることを考慮すると、赤の第(1)波から第(5)波までの1つのサイクルと、バタフライパターン、あるいはディープクラブパターンの間には、何らかの関係があるのではということになりますよね。
だとすると、バタフライパターンとディープクラブパターンが示しているのは、フィボナッチのキーレベル。エリオット波動の推進波の計測にもフィボナッチを使いますので、エクステンションタイプのハーモニックパターンは、推進波の動きを見るのに使えるということになりそうです。
推進波とハーモニックパターン:フィボナッチプロジェクション
ここで、見ておきたいのが、ハーモニックパターンでよく出てくるABCDパターン。「エリオット波動とハーモニックパターンPart1 続編 Elliott Wave&Harmonic Patterns II」の記事で探索したように、ABCDパターンといってもいろいろな種類があることがわかります。
とくに、よく見かけるAからBまでの波とCからDまでの波が同じ長さになる、いわゆる「AB=CDパターン」は調整波の動きを見る時にチャネルと合わせて使うことも多いのですが、これとは別に、以下2つのパターンは注目に値します。
- CからDまでの波が、AからBの波に対して1.618倍になるABCDパターン
- CからDへのCDという波の中で、同等の比率をもった小さなabcdが形成される「AB=CD/ab=cdパターン」の存在を思い出します。
これらの1.618倍になるABCDパターンや、AB=CD/ab=cdパターンだと、CDの長さはかなり長くなりますので、調整波だとC波、推進波だと第3波を示唆していることになるというアプローチになります。
また、ここで出てくるフィボナッチの1.618倍と言った数値は、ハーモニックパターンやエリオット波動でよく使う数値です。
そして、これは、フィボナッチの中のフィボナッチプロジェクションになります。
ハーモニックパターンとエリオット波動分析がややこしく見えるのは、よく知られているフィボナッチリトレースメントやフィボナッチエクスパンションだけでなく、フィボナッチプロジェクションを使っていることもあるかと思います。
ですが、フィボナッチ数値を使うエリオット波動とハーモニックパターンは別物ではなく、深くつながっているということになります。
なお、深く触れませんでしたが、エクステンションタイプのハーモニックパターンには、クラブパターンもあります。
クラブパターンは、起点Xから完成地点Dまでのフィボナッチプロジェクションが1.618%、BはXに対するフィボナッチリトレースメントの38.2から61.8%、CDは、BCの値幅に対するフィボナッチプロジェクションの2.618から3.618のレベルというようにフィボナッチの主要数値を使う結構まじめなパターンです。笑
「プライスアクションに期待!フィボナッチターゲットをヒットしたDXYとUSDJPY、クラブパターンがいるSilver」の記事にあるシルバーは、きれいなクラブパターンが形成されていました。その後、少し安値を割ったのですが、反発しましたよね。
バタフライパターン、クラブパターン、ディープクラブパターンは、どの時間足にも出てきますが、気をつけたいのは、出ている場所が、どこになのか?を理解しておくこと。
なぜなら、バタフライパターン、クラブパターン、ディープクラブパターンは、推進波だけでなく、調整波のC波にも出てくるからです。「エリオット波動とハーモニック Part2:調整波(Corrective Wave)と相性のよいハーモニックパターン」もご参照ください。
ハーモニックパターンが出た場合、フィボナッチのキーレベルに価格が到達していることが示唆されていることになるので、突っ込み売り、追っかけ買いなどは避けるべき場面になります。
それと同時に、エリオット波動の波のカウントを合わせることで、今後価格がどちらに向かうのか?短期的であっても、ある程度のシナリオが描けることになります。
推進波にハーモニックパターンが出た後は調整波?
こちらは、先ほどのSPXのチャートと同じですが、画像の真ん中あたりと右側に描画した薄いブルーのボックスに注目します。
このボックスの中に緑でABCを描画していますが、左側のボックスの動きは、明らかに、3つの波からなる調整波の動きですよね。
このオレンジのパターンで反発している今の上昇の動きも、同じように3つの波を形成するでしょうか?これが、今後見ていきたいプライスアクションになります。
ここで、グレーで描画されているホワイトスワンに注目します。これは、これから完成するだろうという候補パターンになります。
そして、これが「That’s exactly what I am tying to talk about.(まさにこれが私が言おうとしていること)」になります。笑
鍵となるのは、やはり、右側のブルーのボックスで同じようなABCの動きになって、フィボナッチのキーレベルでホワイトスワンが完成すること。
なぜなら、これが意味するのは、エリオット波動で言う「ワン・ツー、ワン・ツー」のシナリオの優位性が高まるからです。
ホワイトスワンパターンは直近高値に対するフィボナッチリトレースメントレベルの88.6%を使います。この辺りは結構なレジスタンスエリアになりますので、一定のプライスアクションが出そうだというシナリオを描けますよね。
エリオット波動のワン・ツー、ワン・ツーとハーモニックパターン
まず、画像の左端に見える高値は最高値。この高値を付けた後、下落して、ブルーのボックスのABC調整波を形成。ここまでで、IとIIと描画したように、一番最初の第I波と第II波を形成した可能性があります。(わかりやすく分けるためにIとII、1と2を使用します)
言い換えれば、長期の上昇トレンド(ブルマーケット)が終焉し、長期の下落トレンド(ベアマーケット)の初動の動きとなります。
ブルーのボックスのABC調整波を形成後、オレンジのパターンを描画した5つの波からなる下落の推進波を形成して、フィボナッチプロジェクションのキーレベルとこのパターンで反発中。言い換えると、このパターンの完成地点までの下げが2つ目の第1波、現在の反発が2つ目の第2波ということになり、1と2を描画しています。一番最初の第I波と第II波よりひと回り小さいサイクルの第1波と第2波ということになります。
これが、エリオット波動で言う「ワン・ツー(I, II)、ワン・ツー(1, 2)」で、トレンド転換の最初の第I波と第II波、次のひと回り小さい第1波と第2波が形成されつつあることを意味します。
右側のブルーのボックスのABC調整波が完成し、ホワイトスワンパターンが出た後のプライスアクション次第では、この次の動きは、第3波。パワフルで長期的、場合によっては、スピードが速い強烈なダウントレンドの再開を示唆しています。
なお、明確なのは、SPXに限らず、DJIとNDQには上の方に空いた窓があること。
短期的には、移動平均線と他のフィボナッチのキーレベルが、DJI、SPX、NDQのワンモアアップを示唆しているので、上がってもらったほうがわかりやすいです。
また、これらの窓を埋めるために上昇するのであれば、「ワン・ツー(I, II)、ワン・ツー(1, 2)」のシナリオが無効になります。シンプルです。Plan Bで別のシナリオを持っておけば、別に動揺することはないです。窓を埋めた後のプライスアクションの方が大切になります。
FED、金利、決算、経済指標、インフレ、地政学リスク。ニュース材料はたくさんありますが、ニュースはどちらでもよく、テクニカル分析の方が大切のようです。
また、思いついたらここにアップデートしますね。
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