フィボナッチを使いだすと色々な数値が出てきて、奥が深いことを実感します。チャートを見ていると主要な数値で必ずプライスアクションがあるのが見て取れますよね。ここでは、フィボナッチリトレースメントのレベルにある2つの数値について探索していきます。
フィボナッチ76.4%と78.6%:どっちなの?と問うとき
Fibonacci 76.4% or 78.6%?
フィボナッチツールの面白さとプライスアクション
MT4デフォルト数値:フィボナッチ76.4%
MT4のフィボナッチリトレースメントのツールでは76.4%がデフォルトで設定されています。この数値を使って押し目や戻り高値の価格帯を特定することもしばしばあると思います。
それでも、トレードに慣れてきたり、他のチャート分析の方法を学び始めると、フィボナッチリトレースメントレベルの76.4%では少し物足りなく感じ始めるかもしれません。もう1つ知っておきたいフィボナッチリトレースメントレベルの数値について、見ていきましょう。
一歩進んだ数値:フィボナッチ78.6%
この画像は2019年6月にキャプチャ―していたSP500キャッシュのチャートです。
6月につけた安値から4月の高値に向かって反発上昇してきた相場環境が見えます。赤い矢印の所に、この高値に対するフィボナッチリトレースメントレベルの76.4%と78.6%が表示されており、76.4%で価格が反応した後、78.6%まで上昇してヒットし、プルバックしています。
この画像からだと、「フィボナッチリトレースメントレベルの76.4%と78.6%ってそんなに大した差はないよね?」という意見もあってしかりです。
また、1分や5分足だと差は小さいので痛手にはならないです。ただしこれが、4時間足以上の日足や週足になってくると、76.4%で一発目に反応した後のプライスアクションによっては、相当イライラする結果になります 笑
この画像だと76.4%をヒットした時に、上ひげのローソク足が出て、次の4時間で少し下げただけで、その後は、4時間足チャートのローソク足4本分で、78.6%まで上昇しているのが見えます。4本分ですので、16時間も逆走されると、「おいおい、逆走かよ。損切かな」と冷や汗ものになるかもしれません。
76.4%で売りのポジションを持った場合、その後、78.6%をヒットするまでは損切りするかしないかの判断を迫られている場面であることには間違いありません。特に、78.6%の存在を知らない場合は、このままストップをひっかけて上昇していくのではないかと不安になるかもしれません。
ここで損を切るか切らないかは別としても、このチャートから見えるのは、価格が78.6%をヒットした後は、76.4%をヒットして下落した値幅以上に下落していることです。
こちらは、XLF(金融セレクト・セクター SPDRファンド)のチャートです。
このチャートと上記のSP500のチャート、ぱっと見動きが似ているのがわかりますか?
チャート左の下落の波の形もよく似ています。XLFには薄いピンクでフィボナッチの数値を見るためにハーモニックパターンのようなパターンを描画していますが、当時の最後のローソク足がいるのはフィボナッチリトレースメントレベルの78.6%になります。
そして、このレベルでは、サポートとレジスタンスのある価格帯と、6月から開始した反発上昇の波を使ってはじき出したフィボナッチエクステンションの4.618%から5%という「ザ・伸び切りゾーン」が重なっているのが見えると思います。
なぜフィボナッチ78.6%?
フィボナッチリトレースメントの78.6%が意識される理由は色々あると思いますが、76.4%と一緒に78.6%の方を知っておくとよいのかについてサクッと探索します。
1.ハーモニックパターンの存在
まず思いつくのが、ハーモニックパターンの存在です。よく知られているガートレーパターンと、これのおいとこさんとなる新種のサイファーパターンではフィボナッチリトレースメントレベルの78.6%を使うことを学びます。
ハーモニックパターンを実戦で使いだすと、パターンが出るまでは安易にポジションを持たない=優位性がないという目線が生まれます。フィボナッチの主要なレベルである38.2%、50%、61.8%の次は、76.4%、そしてさらに優勢がある78.6%があることを理解できるようになります。
その結果、74.6%でプライスアクションがあっても、78.6%をヒットするまで待つとか、このレベルでハーモニックパターンが出た方がエントリーの根拠が増えるのではないかという目線になるわけです。
この記事もご参照ください。「ハーモニックトレード Part1:ガートレーとバットの基本ハーモニック Gartley, Bat cheat sheet」
2.エリオット波動の存在
次に考えられるのが、エリオット波動分析の存在です。最も知られているのが、波の形に注目した推進波(Impulsive Wave)と調整波(Corrective Wave)という波のパターンです。勢いよく上昇するトレンドのある推進波は5波からなり、押し目や戻しを付けている場面ではジグザグとした調整波になります。
一歩踏み込んでエリオット波動分析のガイドラインを見てみると、エリオット波動分析では、これら2種類の波の形だけを見ているのではなく、推進波にも調整波にも、必ずフィボナッチを使っていることがわかります。
「エリオット波動とハーモニック Part 2 (続編):調整波(Corrective Wave) スラスト&ブラックスワン」の記事で探索したように、調整波では、61.8%や79%(=78.6%)という数値を使っているのがわかります。
76.4%と78.6%のどっちなの?
まとめ:どちらが正しいということではなく、チャートの分析方法やテクニカル分析ツールを使っている結果、多くのトレーダーの目線が一致する価格帯が出てくれば、それが意識される価格帯になるという考えになります。
ハーモニックパターンを使っているトレーダーにとっての78.6%、エリオット波動分析を使っているトレーダーにとっての79%が合致する価格帯、そしてこの価格帯に市場が意識するサポートやレジスタンスなど、テクニカル分析の基本で見つけ出す節目が重なってくると、そこではプライスアクションが活発になります。
そして、お気づきだと思いますが、ハーモニックパターンとエリオット波動に共通している主要な分析ツールはフィボナッチになります。その結果、ハーモニックパターンとエリオット波動は、相性が良いです。上記のメニューからフィボナッチ、ハーモニックパターン、エリオット波動に関する記事などをご参照ください。