Part1とPart2では、リトレースメントとエクステンションタイプに属する基本のハーモニックパターンの成立条件などを見てみました。新種のハーモニックパターンも一見難しそうなのですが、その始まりもフィボナッチであり、フィボナッチを使ってはじき出す縦軸と時間が鍵となります。Part3では、ハーモニックトレードの醍醐味が理解できるサイファーやシャークなどの新種ハーモニックについてシェアします。
トレンドフォロー目線には痛い!新種のハーモニック
新種のハーモニックは、値掴みや突っ込み売りに終わる鬼タイプ
トレンドフォローの目線を変えるよう警告を出してくれるこのグループには、サイファー、ネンスタ―、シャークなどがあります。主な特徴は、ハーモニックパターンのXABCDで、CがAを超えること。ネンスター、サイファーの親戚であるA・サイファー、さらにシャークの種類によっては、完成地点DがXを超えるエクステンションタイプもあります。
高値や安値を一旦更新する動きから反転や逆走というプライスアクションを引き起こすので、後になって振り返ると「荒れた上下の動き」「だまし」「スパイクを付けた」という言葉で表されたりします。鬼のパターンということですね。
78.6%が鍵!よく出るサイファーパターン
8月25日の「ポンドの動きに注目!ドル円とゴールドの動きを演出した立役者にはハーモニックパターン!US10Y was a joker」で見ていたGBPCADのサイファーパターン。
青のパターンの左の高値からXABCDとなります。画像を見ていただくと、何となく見えてくると思います。そう、サイファーは、ガートレーと同じで、パターンが完成するD地点は、高値であるXへのフィボナッチリトレースメントの78.6%となります。ガートレーと異なる点は、CがAを超えること。
この画像だと、安値を一旦割っていますね。また、ガートレーでは、Bの地点にフィボナッチリトレースメントの61.8%を使いますが、サイファーではB地点が50%から61.8%と緩くなっています。このため、私はガートレーのおいとこなどと呼んでいます。
AとCの関係についていうと、AからCへのフィボナッチプロジェクションは1.272を少し超えた数値になっています。
A.トレンドフォローのフィボナッチエクステンションと、調整波を使うフィボナッチプロジェクション
トレンドフォローの目線でいる場合、Bの地点は、Aの安値からXの高値に向かって引いたオレンジのフィボナッチリトレースメントで割り出すフィボナッチベースの売りポイントとなります。
その一方、Aの安値からBに引いたのが、緑のフィボナッチプロジェクション。黄色のボックスで示した価格帯は、トレンドフォローの場合のオレンジのフィボナッチエクステンション1.13と、緑のフィボナッチプロジェクション1.272が重なるエリアです。
当然のことながら、Aが形成されて、その後、戻してBから再度売りが入り、CがAを超えて安値更新となった時点では、このパターンは完成していませんので、まだトレンドフォローの目線を持っていることになります。
ですが、BからCへの安値更新に向かう値動きで、シャーク等何かしらの買いのハーモニックパターンが出ている可能性もあった場面です。さらに、この画像には掲載されていませんが、この通貨ペアのもともとの大きな下落トレンドを忘れてはいけませんよね。
そのトレンドが始まったときの初動の山谷を使ってはじき出すフィボナッチエクステンションで価格の目標値を先に見ていれば、このCは、フィボナッチエクステンションの「伸び切りゾーン」にいるかどうかという判断ができます。
そして、Cで安値を付けた時点でのオシレーターとのダイバージェンス、ピボットなど他のテクニカル分析の要素を合わせてみた場合、黄色のボックスの辺りで売り継続目線を維持したままだと、「尻尾で突っ込み売りをして、アッパーカットを食らう」こと間違いなしというリスクがあることに気づきます。サイファーに限らず、「伸び切りゾーン」でフィボナッチの主要な数値が重なる場所では、高値や底値をついたというシグナルになる可能性があります。
サイファーの成立条件
- CはAを超える(一旦直近安値や高値を更新。)
- 完成地点Dは、ガートレーと同じで、Xに対するフィボナッチリトレースメントの78.6%
- Xへの戻りとなるB地点は、ガートレーが61.8%を使うのに対し、サイファーは38.2%から61.8%と緩い
たまに出るバタフライのおいとこのネンスター
2018年2月の「ダウ平均株価指数のフィボナッチエクステンションに注目 DJI’s fib level worth watching」で投稿していた買いのネンスターなどネンスターはたまに検出されるパターンです。
XからDへのフィボナッチプロジェクションは、バタフライと同じ1.272%を使っているため、おいとこともいえますね。ネンスターがバタフライと異なる点は、CがAを超えていること。さらに、Bの地点は、バタフライでは78.6%ですが、ネンスターは38.2%-618%と緩くなっている点です。上記の画像のパターンの色の関係で、CがAを、また、DがXを超えるという動きがわかりづらいと思いますので、2019年10月2日現在、米10年債に出ているネンスターを投稿します。
CがAを超えており、DがXを超えているのがわかると思います。
ネンスターパターンの成立条件
- CはAを超える(一旦高値や安値を更新)
- 完成地点Dは、バタフライと同じで、Xに対するフィボナッチプロジェクションの1.272%
- Xへの戻りとなるB地点は、バタフライが78.6%を使うのに対し、ネンスターは38.2%から61.8%と緩い
サイファーとネンスターの派生形!?
8月3日に投稿した「ドル円チャネルブレイク、ユーロドルの3ドライブパターン、ドルスイスの5-0パターン – EURUSD’s 3-drive」で掲載していたシルバーの「A・サイファー」。この記事で投稿したゴールドには、ガートレーが検出されていました。78.6と1.272つながりですね(笑)
「A・サイファー」はバタフライに近く、「A・ネンスター」はガートレーのBとCの成立条件が緩いパターンとなります。基本は、78.6とその逆数の1.272を使っていること。正直なところ、サイファー、「A・サイファー」、ネンスター、「A・ネンスター」は混同しやすいです。オートハーモニックインジケーターがきちんと検出してくれるので、難しく考えなくても、十分用が足りている(笑)というのが実感です。
この記事の後半は、「ハーモニックトレード Part3 (続編)新種のハーモニック: シャークとスリードライブ(Shark & 3Drive)」に掲載しています。
その他の参考記事
ドル円の日足と週足で検出されたバタフライとA・サイファーパターン
「ドル円の長期足の2つのハーモニックと短期足のトレンドの初動の動き?USDJPY with 2 harmonics」
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