フィボナッチはリトレースメントだけではないんです- Making the most of fibonacci tools

テクニカル分析を学ぶ誰もがフィボナッチと聞いて一番最初に思いつくのがフィボナッチリトレースメントではないでしょうか?でも、フィボナッチには他にも使えるツールがあり、一緒に使うことで「フィボナッチ数値の集積地帯」を知り、トレードセットアップに磨きをかけることができます。Everyone learning trading may know fibonacci retracement but we can make the most of other fibonacci tools to identify a crucial price level.

フィボナッチ4兄弟からお知恵を拝借

Fibonacci Bros help us find treasures!

フィボナッチ・エクステンション、フィボナッチ・プロジェクション、フィボナッチ・エクスパンションを検索してみると、フィボナッチ・リトレースメントに比べ、少ない件数しか表示されないことに気づきました。フィボナッチエクステンション、プロジェクション、エクスパンションは、国内のトレーダーにはあまり使われていないツールなのでしょうか?それとも難しそうで使い方がわからないと認識されているのでしょうか?

フィボナッチは基本的な使い方から、ハーモニックパターンのような応用まで多種多様に使え、ぜひテクニカル分析に取り入れたいツールです。下記でフィボナッチの使い方を少し探索してみましょう。

フィボナッチツールに設定しておきたい数値

簡単にフィボナッチツールに設定しておきたい数値の一部をまとめてみます。

リトレースメントレベルを見るためのフィボナッチ数値

  • 38.2:0.382は、0.618の二乗。
  • 50:半値戻しのレベルを見るものですね
  • 61.8:これは誰もが必ず知っている要の数値で、デフォルトで設定されているので、このまま使用します。
  • 78.6(21.4):0.786は0.618の平方根。MT4のデフォルトは76.4(23.6)ですが、78.6の方も使用したいですね。
  • 88.6(11.4):0.886は、0.786の平方根で、1.13の逆数です。

エクステンション、プロジェクション、エクスパンションのレベルを見るためのフィボナッチ数値

  • 1.128(1.3%):フィボナッチの0または100を少し超えたレベルです。
  • 1.272と1.382:1.272は、1.618の平方根。1.272は78.6との組み合わせでよく使用されます。1.382はフィボナッチエクステンションを使う場合に必ず入れておきたい数値です。
  • 2.0と2.24:フィボナッチプロジェクションを使うときに重要な数値です。
  • 5.0:5って意外と無視されそうなのですが、フィボナッチエクステンションやプロジェクションで使います。このレベルに差し掛かると1つの波のサイクルが終わる可能性があります。
  • 1.618、2.618、3.618など:61.8が絡む数値の1.618などは黄金比率です。

これらの数値のうちで、フィボナッチ76.4%と78.6%の違いについて、ちょっとした違いですが大きな意味があります。フィボナッチプロジェクションの1.128%や2%も重要な役割を果たしています。

ここからは、フィボナッチの引き方を見ていきましょう。

フィボナッチエクステンションの引き方

MT4、MT5、トレーディングビューにデフォルトで装備されている「フィボナッチリトレースメント」を使います。エクステンションは拡張や延長、プロジェクションは投影のほか見通しや予測という意味があります。米10年債先物の日足のチャートを使い、直近の上昇トレンドにフォーカスします。チャート上に緑のパターンとしてフィボナッチエクステンションとフィボナッチプロジェクションを描画しています。

フィボナッチエクステンション(価格が伸びた推進波に注目しターゲットを見つける)

Fibonacci extenshon and projection TY1 24 Jan 2019画像中、最安値を付けて反転上昇を開始した最初の山に注目します。

一番左側の青丸で囲んだのが最安値、真ん中の青丸がその安値から上昇してつけた高値で、初動の山の頂点となります。一番右の青丸がその後押しをつけたものの、最安値を割らずに切りあがった安値です。

フィボナッチ・エクステンションは、その時間足で出ているトレンドの方向に伸びている推進波に注目し、その波で最初に形成される高値から安値に向かってフィボナッチを引いて価格が伸びていく目標値を見つけるためのツールです。

この画像では、フィボナッチのツールを選択した後、真ん中の青丸の高値にマウスを置き、一番左の青丸の最安値に向かってフィボナッチを引きます。

フィボナッチプロジェクションの引き方

フィボナッチプロジェクション(推進波の中に形成される調整波を使い、ターゲットを見つける)

次に、真ん中の青丸の高値と、一番右の青丸の切りあげた安値に注目します。

この安値は、一番左の最安値を割っていないので、押し目と判断でき、真ん中の青丸の高値からこの切り上げた一番右の青丸の安値への押しを付ける動きは調整波だとみることができます。そして、調整波が形成された場合に使いたいのが、フィボナッチプロジェクションです。この場合、真ん中の青丸の高値から一番右側の青丸の押し安値に向かって引きます。

この画像で見ると、上昇した価格が、フィボナッチプロジェクションの3.618%できれいに反応しているが見えると思います。緑のパターンだと、BとCの間に表示されている数値がフィボナッチプロジェクションとなります。その数値は、3.75となっており、これが意味するのは、3.618%を十分に満たしてさらに伸び切っているよということです。

フィボナッチエクスパンションの引き方

フィボナッチエクスパンション(高値と安値からなる3点を使ってターゲットを見つける)

Fibonacci expansion TY1 24 Jan 2019

上記のチャートにフィボナッチのもう一つのツールであるフィボナッチエクスパンションをオレンジ色でをつけ足しています。

フィボナッチエクステンションとプロジェクションは高値と安値の2点を使いますが、フィボナッチエクスパンションはひと山を形成する高値とその両脇にある安値3点すべてを使います。

一番左側の青丸で囲んだ最安値(画像では便宜上A)にエクスパンションのツールをあて、真ん中の青丸の高値(B)でクリックして、さらにそのまま一番右側の青丸の押し安値(C)まで引きます。

価格が伸びた先のレベルを見るとエクスパンションの2.618%を超えて、さらに価格が伸びてきた後、大きな陰線で下落しているのがわかります。

MT4やMT5では、フィボナッチエクスパンションのツールがありますが、トレーディングビューでは、左側のツールの一覧にある「Trend-based Fib Extension」という名称のツールを選択します。下落トレンドの場合は逆になりますが、考え方は同じです。下落の起点となった最高値、その後下落して一旦つけた安値、そしてそこから反発して上昇して付けた高値で、最高値の更新に失敗してつけた切り下げ安値を使います。

フィボナッチリトレースメントの引き方

フィボナッチリトレースメント(押し目や戻り高値の候補を見つける)

上記の画像では、価格は上昇したものの、フィボナッチエクステンションとフィボナッチプロジェクションが示す「ザ・伸び切りゾーン」に到達後、プルバック(戻し)という形で下落してきています。お気づきだと思いますが、価格は、フィボナッチエクスパンションやフィボナッチプロジェクションの2.618%を超えだすとプライスアクションが活発になり、オシレーターも徐々にダイバージェンスを付け始めることがあります。なぜなら、この上昇トレンドを築いている価格が、フィボナッチを元にした目標値のひとつ(例えば2.618%)をヒットしたため、利確や手じまいをするトレーダーがいるからです。

この相場の週足を見ると、下落トレンドを形成しているのがわかります。この上昇の波が、カウンタートレンドの動き(長期のトレンドに対する戻り高値を付ける動き)に過ぎないと判断されている可能性もあります。

TY1 fibonacci retracement daily chart 24 Jan 2019

このような場合、トレンド継続とトレンド転換という2つのシナリオと目線が生まれます。

仮に大きな下落トレンドが終了し、上昇トレンドに転換したのではないかと仮定する場合、価格は一番左の青丸の最安値を割らないこと、さらに、現在、下落している価格がどこかで押し目を付けて、再度上昇することが前提条件となります。

そして、ここで使うのが、青で描画した高値と安値を使って引くフィボナッチリトレースメントです。

画像の右側に青色で表示された各レベルをみると、ピンクのエリアで示したように、38.2%のリトレースメントレベルで、今月と今年のピボットポイントが重なっているのが見えます。そのため、この節目がサポートとして意識され、価格が支えられて反転しています。押し目買いの候補として買い圧力がいることがわかりますね。

その一方、この上昇が大きな下落トレンドの最中の反発にすぎず、戻りを待って売りで仕掛けようとみているトレーダーもいると思います。この場合、画像では見えない左端にある高値と、先ほど上記で使用した一番左側の青丸で囲んだ最安値を思い出し、一回り大きなサイクルの高値と安値を使ってフィボナッチリトレースメントを使います。

画像中、今の上昇トレンドの高値の右側に0と重なって0.382とあるのが見えると思います。これは、この大きなサイクルの中でのフィボナッチリトレースメント38.2%を指します。

ということは、上記で探索した直近の上昇波に対して引いてみたフィボナッチエクステンション、プロジェクション、プロジェクションが示した目標値だけでなく、大きな高値安値を使った場合のフィボナッチリトレースメントのレベルでも、節目を形成していることが見えてきませんか?

その結果、日足などの長期足では、高値と安値を切り下げて下げトレンドになっているため、レジスタンスから売り目線というトレーダーもいるだろうと判断できます。その一方、今の直近の上昇の動きを見ると、押し目をつけて上昇していくのではないか?とも想定できるわけです。大きな時間足のフィボナッチのレベルと、直近の小さな波で使ったフィボナッチのレベルにより、買いと売りが交錯する相場環境が生まれるわけです。

フィボナッチツール4兄弟の使い方のまとめ

フィボナッチエクステンション 

価格が伸びた方向に形成された勢いのある推進波に見つけられる最初の高値(あるいは安値)から、その推進波の起点となった最安値(あるいは最高値)に向かって引きます。これで、価格がどこまで伸びるのかという将来の目標値を見つけることができます。

フィボナッチプロジェクション

その推進波の中で形成される調整波を使います。最初の高値から下落して付けた押し安値に向かって、あるいは最初の安値から戻り高値に向かって引いて、目標値を見つけます。

フィボナッチエクスパンション

これらの最安値、高値、押し安値、あるいは最高値、安値、戻り高値の3点からなる山や谷を使って、目標値を探り出します。この3つのツールが示してくれるフィボナッチの主要なレベル、例えば1.618や2.618などが重なる価格帯があれば、それが節目として機能しプライスアクションが活発になる可能性があります。

フィボナッチリトレースメント

フィボナッチリトレースメントは、相場環境と自分がどの時間足でトレードしているのか?を把握したうえで使うと効果的です。例えば、4時間の高値と安値を使ったリトレースメントレベルを見たいのか、15分足の高値と安値を使ったリトレースメントレベルを見たいのか?といった感じです。続編では、フィボナッチの4つのツールを使ってはじき出した節目とテクニカル分析の基本を組み合わせたチャート分析についてシェアします。

続編「フィボナッチ4兄弟とテクニカル分析の基本(続編)Fibonacci tools & technical analysis

フィボナッチの応用など参考記事

フィボナッチプロジェクション、エクスパンションなど参考記事

フィボナッチの隠れた鬼のキーレベル1.13(1.128)Fibonacci & Harmonic patterns

フィボナッチの隠れた鬼のキーレベル2と2.24 Fibonacci & Harmonic patterns

ダウ(DJI)のチャートで見るフィボナッチプロジェクションやエクステンション

ダウ:フィボナッチエクスパンションなどを使ってはじき出すフィボナッチ数値- A zoom-in of DJI

「ダウ平均株価指数のフィボナッチエクステンションに注目 DJI’s fib level worth watching」

ダウのフィボナッチウォークとトラディショナルなドル円 DJI on fibonacci walk

フィボナッチリトレースメントレベルの88.6%は「最後の砦」!?

フィボナッチ88.6%: 最後の砦、エリオット波動、ハーモニックトレード Part1 – Fibonacci 88.6%

このブログでご紹介しているFXトレード講座「負けないトレード実践編|FXを最短時間で攻略する」内にあるフィボナッチエクスパンション、プロジェクション、エクステンションについての理解を深める講義のイントロダクション「フィボナッチ比率から目標値を設定する3つの方法」が無料公開となっています。