エリオット波動分析とハーモニックパターンのPart 1の記事が長いので、後半部分をこちらに掲載しています。皆さんがよく耳にするかもしれないABCDパターンにはバリエーションがあります。マニアの産物と思われがちなハーモニックパターンの基本ABCDパターンについて後半部分をシェアします。
エリオット波動とハーモニックパターンの基本:ABCDパターン
ABCD Patterns are basics of Elliott Wave Analysis
エリオット波動サイクルに潜むハーモニックパターンとして、61.8%パターンと5-0パターンを見たのが前半の記事です。ここでは、記事の後半にあったABCDパターンのバリエーションなどを見ていきます。
推進波も調整波も!ABCDパターンとエリオット波動
エリオット波動で難しいのは調整波だと思います。
「ABCの3波構成」と簡単なように聞こえるのですが、ABCが繰り返されるダブルジグザグや、フラット、トライアングル(三角持ち合い)などバリエーションがあります。相場が調整段階に入ると、「方向性がない」と説明される場になったりしますが、調整波にいることを理解しないままに無駄にエントリーすると、往復びんたを食らい損切りさせられるという厄介な環境です。
ただ、1つ言えることがあります。調整波にいる時は、ハーモニックパターンがよく登場するということです。なぜなら、調整波にいる相場では、リトレースメントやプロジェクションなど、フィボナッチが活躍するからです。
まずは、チャートパターンで学ぶフラッグと合わせて習得しておきたいベーシックなハーモニックパターン、ABCDパターンを見ていきます。
移動平均線(MA)や水平線・ラインを使うトレード手法、ブレイクアウト手法などでは、MAや抜けたサポートやレジスタンスのラインへの押し目などのプルバックやリターンムーブを「N字」「N波動」などと呼んでいますよね。言葉は違えど、ABCDパターンも基本のアプローチは同じです。
ABCDパターン:基本のパターンにバリエーション4種類
- 基本のABCDパターン:AからBまでの波とCからDまでの波が同じ長さになる、いわゆる「AB=CDパターン」
- バリエーションパターン1:CからDまでの波が、AからBの波に対して1.618倍になるABCDパターン
- バリエーションパターン2:CからDまでの波が、AからBまでの波の0.618か0.786の地点で終わるABCDパターン
- バリエーションパターン3:CからDへのCDという波の中で、同等の比率をもった小さなabcdが形成される「AB=CD/ab=cdパターン」
- バリエーションパターン4:逆数を使うABCDパターン(例:2と0.5といった逆数関係にあるパターン)
ABCDパターンは、出現する場所によっては、エリオット波動で言うABC調整波であったり、推進波であること示してくれている可能性があります。
A. 推進波でのABCDパターンの場合
バリエーションパターン1のCからDまでの波が、AからBの波に対して1.618倍になるABCDパターンは、推進波の第3波を意味していることにもなりますよね。なぜなら、「第3波は、通常、第1波の1.618倍である(勢いがあれば2.618倍まで伸びる)」からです。
2019年5月から6月にかけて反転したカナダドル円。
青のチャネル内で、推進波となるか、調整波となるか、シナリオを描いておけば学べる相場でした。画像中、ブラックスワンが検出されていますが、すでに、N字のようになりABCという3波を構成しています。
また、「ハーモニックトレードの嬉しいメリット(前編) Advantages of Harmonic trading Part 1」の「チャートパターンに根拠を追加してくれる」でアップル株に出ていたパターンで見たように、ABCDパターンの場合は、2本のラインで引くチャネルが鍵となります。
B. 調整波でのABCDパターンの場合
ドル円で、4時間足で発生している上昇トレンドを想定してください。
この勢いよく上昇している波に対して、今は、戻し(押し目)をつけるために下落している場面。この波がチャネル内に収まっていて、ABCと3つの波からなり、ジグザグしている。さらに、ハーモニックパターンインジケーターが、チャネルの下限とABCのCと重なるエリアあたりで買いのABCDパターンを検出すれば、それはABC調整波の終了で、押し目買いのポイントを示唆してくれているということが想定できます。
推進波か調整波かは、チャートの左を見て判断します。過去から今までに出ているトレンドを理解する環境錦と合わせて使います。
ABCDパターンは調整波?推進波?シナリオを描いてみたカナダドル円など過去記事をご参照ください。
「プルバックが中途半端だったゴールドとユーロドルのプライスアクションから学ぶ。CADJPYはワンツー・ワンツー?」
「ユーロドルの5-0パターン、GBPUSDのブラックスワンのほか、CADJPYなどはテクニカル分析の基本を活かす相場」
「ドル指数のシャークパターン、ドル円のブラックスワン、ユーロドルのAB=CDパターンとハーモニックパターンが大活躍」
エリオット波動では、推進波も、調整波もチャネルが重要です。
「エリオット波動の基本: チャネルの使い方 -Elliott Wave basics: Using a channel」